大阪府は梅雨を控えた5月を「ため池愛護月間」として、水害防止や環境保全の取り組みを呼び掛けている。実は大阪は国内有数のため池の密集地で、府内全体の数は約1万1000に上る。確かに地図を眺めると、大小さまざまな池が点在している。都市化が進んだ土地になぜ、これほど多いのだろうか。
ため池は主に農業用水の確保を狙って整備した人工の池を指す。農作物の少雨被害を防ぐだけでなく、下流の洪水対策にも役立っている。4月下旬、現存する日本最古のため池といわれる大阪狭山市の狭山池を訪ねた。
思った以上に広い。満水時の面積は約39ヘクタール。池を周遊する道をジョギングしたり、水辺でおしゃべりを楽しんだりする光景が目に入る。地元住民らの憩いの場として定着している。もともと飛鳥時代の7世紀前半に誕生し、古事記や日本書紀にも登場したというから驚く。
その古さが実証されたのはごく最近のことだ。平成の大改修にあわせて発掘調査があり、堤の下から水を通すための「樋管(ひかん)」が見つかった。針葉樹のコウヤマキをくりぬいてつくったもので、616年ごろのものと判明した。