関西では常識「緑のおはぎ」の不思議三色おはぎに「ごま」がない

手作りで一つずつおはぎに青のりをまぶしていく祇園饅頭の工場(京都市東山区)

スジアオノリは杉の葉のような形で、値段はアオサの10倍以上。四国が主な産地で、おはぎにも使われる。アオサは堅くて香りが薄いが、スジアオノリは柔らかく、お茶のような上品な香りがするという。それならおはぎにも合いそうだ。

陰陽五行説が関係?

続いて全国の食文化を研究する奥村彪生さんに三色おはぎの由来を尋ねた。文献に記述はないが、「中国の陰陽五行説に由来すると考えられる」とのこと。日本料理、とくに京料理は陰と陽、木・火・土・金・水が万物を構成すると考える陰陽五行説の影響を強く受ける。五行を色で示すと緑、赤、黄、白、黒となる。

「江戸時代から彩りや香りを出すため、青のりやごまなどがよく使われるようになりました。あずき、白あん、きなこ、ごま、青のり。京都で五色おはぎが生まれて全国に広がり、口に合うものが残ったのでしょう」(奥村さん)

産地の四国に近いこともあって関西では青のりを使うことが多く、京都には青のりを豆にまぶした茶菓子もある。「濃い味を好む関東では油気のあるごま、薄味を好む関西では上品な香りがする青のりが支持された」と奥村さんはみる。

青のりおはぎ発祥の地とも目される京都に向かった。南座の隣に位置する祇園饅頭(まんじゅう)は文政2年(1819年)の創業。6代目店主の林純一郎さんは「はっきりわかりませんが、うちでは昭和になってから目を引くために売り始めたようです」と話す。「青のりはクセがあって大人の味。好きな方はよく買ってくださいます。それに彩りが美しいので、特にお彼岸に人気です」

取材を終えて外に出るとうららかな春の陽気。青のりおはぎを川辺に座って食べてみた。鼻に抜ける青のりのいい香り。後味がさっぱりとしている。秋の彼岸には青のりおはぎも供えてみよう。関東の先祖も気に入るに違いない。

(大阪・文化担当 佐々木宇蘭)

[日本経済新聞大阪夕刊いまドキ関西2012年4月4日付]

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