蜃気楼(しんきろう)といえば富山県魚津市が名所。富山湾にゆらゆら浮かぶ幻影は異国の街並みのようでもあり、想像力がかき立てられる。ところが、春から初夏にかけては魚津を上回る観測スポットが関西にあるという。滋賀県の琵琶湖周辺だ。どうやったら幻想的な景色と出合えるのだろうか。
まず市民グループの琵琶湖蜃気楼研究会を訪ねた。研究会は現在8人。蜃気楼が出そうな日に湖岸のなぎさ公園で会員が望遠レンズ付きカメラを携え待ち構える。「魚津で蜃気楼を見て、ひょっとしたら琵琶湖でも、と思い、1994年から大津市で観測しています」と伴禎代表は話す。
結果はどうか? 年最低8回、多い年には20回も観測された。最も早いのは1月29日。4、5月が多く、7月以降はほとんど観測されない。
「去年4月にすごいシーンが撮れた」とDVDを見せてくれた。早回しの映像には湖面越しにみえる堅田の観覧車「イーゴス」がクモの巣のように変形したり、琵琶湖大橋が上下に伸びたり縮んだりするシーンが続いた。「この時は肉眼でも景色が動いていく様子が分かった」(伴さん)