「花盗人、大歓迎だがや」がナゴヤ流 開店の験担ぎ

2014/3/2

耳寄りな話題

春は入学や入社だけでなく、店の新規開業も増える季節だ。飲食や物販店、事務所が開業する際、色とりどりの花々が送り主の名札を付け店頭に飾られる。全国共通の光景だが、地域によってはこのお祝いの花を自由に抜き取り、持ち帰ってよいという。なぜこのような慣習の違いがあるのか。

大阪では「店の許可がルール」

大阪・ミナミで開業したばかりの飲食店。先日たまたま店先を通りかかると、お祝いの花の前に中年女性が1人。素早い手つきで花を次々と抜き取っては足元の紙袋に納めているではないか。思わず足を止めた。

記者の視線を感じたのか、おばちゃんが振り返った。「あんたもどないや、お花」。丁重に断ると「あんた、東京の人やな。大阪ではな、お祝いの花は持って帰ってええんや」と言い残し足早に去っていった。収穫した花でぱんぱんに膨れた紙袋を大事そうに抱えて。

記者は大阪出身だが、お祝いの花を無断で持ち帰る話など寡聞にして知らない。周囲の関西出身者にも尋ねたが、一様に「知らない」と言う。おばちゃんの言い訳かとも思ったが、花を抜き取る妙に慣れた手つきはある種の確信を感じさせた。

午前11時には見られた開店祝いの花(写真上)は午後5時半(写真下)にはなくなった(名古屋市中村区)

梅田と心斎橋で生花店「ビオトープ」を営むアンブレラ(大阪市)の井本哲平社長に聞くと「こっそり花を抜き取る人は確かに結構いますが、お店の許可を得ないのはルール違反ですよ」とのこと。一方で「大阪以外の地域ではどうでしょう」と含みを持たせる。

生花の宅配サービス「花キューピット」で知られる東京の業界団体、日本生花通信配達協会(JFTD)に問い合わせた。「無断で持ち帰るなんて東京では考えられません」と前置きしたうえで「愛知県はそういう慣習があると聞いたことがあります」と教えてくれた。

本当だろうか。2月上旬、名古屋市のJR名古屋駅前にラーメン店が開業すると聞き、足を運んだ。午前11時のオープン前、「ラの壱」名駅店の店頭にはお祝いの花がずらり。その後、お客さんや通行人が次々と花を抜き取っていき、夕方には葉っぱだけになった。

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