調理資格制度は現在、都道府県に委ねられている。大阪府の場合、模範調理などを見学する講習会に参加してもらうスタイルだ。口頭試験で理解度こそ問われるものの、きちんと学べばおおむね資格は取れる。一方、東京都のハードルは高い。調理師免許にくわえ、2年以上の実務経験が資格取得の前提。さらに20分以内にフグをさばく実技試験をクリアしなければならない。

フグ調理の有資格者数を調べてみると、大阪府が際立って多いことが分かる。これまでの累計は約10万人。ほぼ同時期に資格制度が立ち上がった東京都は2万人をわずかに上回る規模で、大阪府の5分の1にとどまる。ちなみに「下関ふく」で有名な山口県は約7000人だ。

気になるのは安全性だが、大阪府は「フグの種類や危ない部位が分かっていれば(安全性は)十分担保できる」と説明する。実際、大阪の中毒事故は直近の5年間は年1件以下。死者もゼロが続いている。

回転ずしチェーンでフグフェア

大阪は今後も大量のフグを胃袋に収め続けるだろう。ただ潮目が変わりかねない出来事が1年ほど前に起きた。

東京都は12年秋、フグの販売・調理の規制を緩めた。内臓などの有毒部位を取り除いた「身欠きフグ」であれば、保健所に届け出れば専門調理師がいない料理店でも提供できるようになった。インターネット通販の広がりに合わせた措置だ。これまでのところ、取り扱いは急増していないが、将来的には東京のフグ食が膨らむ可能性がある。

くらコーポレーションは1月10日、1週間の期間限定ながら大手回転ずしチェーンでは初という、フグのフェアを始めた。対象は全国32都府県。「ふぐにぎり」(105円)、「ふぐのから揚げ」(241円)などを提供中だ。同社は「東京都の条例改正をきっかけに挑戦した」という。

大阪だけがフグを満喫できる時間は、あまり残っていないのかもしれない。私も予約しなくちゃ。

(大阪経済部 西岡杏)

[日本経済新聞大阪夕刊関西View2014年1月14日付]

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