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歴史博士

石に刻んだネズミ男、町おこしの願い杜本神社・隼人石(大阪府羽曳野市) 古きを歩けば(24)

2012/4/3

歴史博士

頭はネズミ、体は人間、褌(ふんどし)姿でつえを持つ。こんな奇妙な獣頭人身像を線刻した石が、奈良市と大阪府羽曳野市にある。どちらも「隼人石」と呼ばれうり二つだが、どうやら後者は、奈良時代の作である前者を江戸時代に複製したものらしい。地域おこしに尽力した僧、覚峰が関わったとの見方が有力だという。

頭がネズミのユニークな獣頭人身像が刻まれた杜本神社の隼人石(大阪府羽曳野市)

奈良にはウサギ人間、ウシ人間も

羽曳野の隼人石をみようと、同市駒ケ谷にある杜本(もりもと)神社を訪ねた。社務所に声をかけて拝殿の奥に入れてもらうと、隼人石は本殿の左右に一対あった。高さは約1メートル。左右の石の図像は対称だが、本殿に向かって右側の方が保存状態が良く、目のくりっとしたネズミ人間の顔立ちがよく分かる。「石の由来について、神社には何の文献も残っていません」。宮司の冨永光彦さんが教えてくれた。

隼人石は本殿の両脇に一対ある。図像は左右で対称だ

奈良の隼人石は聖武天皇の皇太子、基(もとい)皇子の墓とされる那富山(なほやま)墓の域内にある。陵墓として宮内庁が管理しており詳しく見ることはできないが、墓の四隅に立てられ、頭がウサギやウシなどの線刻画もあるという。写真や拓本をみると、羽曳野のネズミ顔の像はこの奈良のものにそっくりだ。サイズもほぼ一致する。奈良の隼人石は「もともとは近くにある元明天皇陵に置かれていた」との説があるという。

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