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秀吉悩ませた「鳴虎図」 聚楽第の夢の跡

報恩寺(京都市) 古きを歩けば(41)

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NIKKEI STYLE

関白になった豊臣秀吉が自身の権勢を誇るために京都に造営した政庁兼邸宅が「聚楽第(じゅらくだい)」。その聚楽第の実態はよく分かっていないが、壮大な邸宅だったことは屏風の絵などで今に伝わり、遺構・遺物とされるものは京都市内にいくつかある。報恩寺(京都市上京区)が所蔵する「鳴虎図」は聚楽第に絡んで不思議な逸話とともに語られる絵だ。

吠えていない絵の中の虎

鳴虎図には堂々とした体躯(たいく)の虎が谷川で水を飲む様子が描かれている。背後の松には2羽のカササギ。絵の虎は吠(ほ)えている訳ではないのに、鳴虎図と呼ばれるのは、秀吉がこの絵を気に入って聚楽第に掛けさせたが、絵の中の虎が夜ごと鳴動して眠れないため寺に返したとの伝承があるからだ。

鳴虎図の左上には四明陶●(にんべんに八の下に月、しめいとういつ)の署名。この人物は明時代の中国の画家とされる。鳴虎図は同寺の再興(1501年)を勅旨した後柏原天皇から下賜されたと伝わる。


建築技術の粋を凝らす

逸話でこの絵を秀吉が持ち帰ったとされる聚楽第は、現在の報恩寺から南西約1キロの場所に1587年に完成した。織田信長の後継者として天下統一を目指す秀吉はこの年に九州を平定したが、まだ権威は万全でなく、後陽成天皇の行幸を仰いで威厳を天下に示すために建築技術の粋を凝らして聚楽第を造営したとされる。この年、京都・北野で秀吉が催した大茶会「北野大茶会」は聚楽第の完成記念を兼ねていたとの説もある。

御殿に七宝、瓦には金

その聚楽第は「聚楽第図屏風」(三井記念美術館蔵)の絵や文書などによると、4周に堀が巡らされ、御殿には七宝をちりばめて瓦には金が塗られていた。一帯には武将の館も建てられ、聚楽第跡の地区に武将の名を冠した町名などがあるのはこの名残とされる。

秀吉はこの聚楽第を完成の4年後、関白職と共に甥(おい)の秀次に譲ったが、95年に秀次に謀反の疑いをかけて自害させ、邸宅もまた完全に破却して堀も埋め立ててしまった。聚楽第の建物の一部は伏見城に移築されたとの記録もあるが、伏見城も96年の慶長の地震で被害を受け、その後の戦乱で焼けたりしてかかわりのあるものは散逸したという。

一方、堀の跡は埋め立てられはしたものの、くぼみとなって名残を明治時代くらいまでとどめていたらしい。その聚楽第跡は現在、住宅が立ち並んでいるが、1964年以降に何度か発掘調査されて金箔瓦などが見つかっている。今秋には本丸の石垣の一部とみられる遺構が、京都府埋蔵文化財調査研究センターの発掘調査で確認された。使われていたのは幅1メートル、奥行き1.5メートル、厚さ50センチほどの巨石。「さすが秀吉という立派なもの」と同センター調査第2課の岩松保調査第2係長は話す。


語り継がれる華麗さ

聚楽第と絡む伝承は鳴虎図以外にも京都にある。異説もあるが、大徳寺の唐門(国宝)や西本願寺の飛雲閣(同)だ。聚楽第は完成から破却までわずか8年と短命だっただけに、かえってその華麗さが語り継がれ、様々な逸話を生んだのだろうか。報恩寺の場合は同寺門前の石橋が秀吉に仕えた尼の寄進とされ、秀吉が仕えた織田信長の7回忌に掛けられたとされる信長の肖像も伝わるなど秀吉とゆかりの深い寺だったことも、聚楽第の出てくる不思議な伝承が成り立つ背景になったようだ。

(文=編集委員 小橋弘之、写真=伊藤航)

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