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湖と共に生きる旧港町

海津・西浜(滋賀県高島市) 古きを歩けば特別編・水景を愛でる(1)

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琵琶湖の北西にある岬、海津大崎の付け根から南へ、切石を整然と重ねた石積み護岸が約1.2キロにわたって伸びている。高さは2.5~3メートル。季節風や台風で生じる大波に苦しむ湖岸の人々のために18世紀初め、この地を治めていた代官によって築かれた、との記録が残っている。湖上から見やれば、護岸の背後にはかつての港町がたたずむ。

陸と湖の結節点として栄える

この滋賀県高島市の海津・西浜地区は古来、日本海側から琵琶湖を経由して京都や大阪へ向かう際の、陸上路と湖上路の結節点として栄えた。江戸末期~昭和初期には周辺で石灰が産出し、ここから盛んに船積みされた。

石積みが築かれた浜からは「丸子船」と呼ばれる小型帆船が発着し、同地区にあった内湖(琵琶湖周辺にある潟湖)などを停泊地に利用していた。だが昭和30年代になるとバスや鉄道の発達に押され、交通網の一端をになう港としての機能は次第に衰退し、内湖も埋め立てられてしまった。

水面に顔をのぞかせる木ぐい

湖岸には今も、桟橋跡の木ぐいが水面に顔をのぞかせる。戦前・戦後は冬の週末になると、近くにあるマキノ高原スキー場の玄関口として、京阪神からのスキー客を乗せた汽船「スキー船」が発着して町がにぎわった名残という。当時の時刻表を見ると、土曜夜の夜行列車で大阪から浜大津まで来て、スキー船に乗船。朝5時に海津に上陸し、バスで30分ほどのスキー場へ。早朝から滑り夕方の便で帰路につく、という強行軍だったようだ。


湖岸に沿って走る旧街道の両側に広がる町並みは、あちこちに古い瓦ぶきの町家や土倉が残り、風情を醸し出している。滋賀県高島市教育委員会文化財課の山本晃子さんによると「地区の建物の4割が昭和30年代以前の建物です」。また町の規模とは不釣り合いなほど、数多くの寺院が軒を連ねているのにも気付く。高島市は寺院が多く人口比で全国平均の7倍強になるが、海津・西浜地区は更にその2.3倍の高密度という。「今でも16もの寺院があります。この町のかつての人口や財力がうかがえます」と山本さんは指摘する。

通りに面して銘酒「竹生嶋」の看板を掲げた古い酒蔵、吉田酒造がある。社長の吉田肇さんによると、蔵は江戸期、店は明治から大正ごろに建てたものだという。船頭や港の労働者、漁師らが酒を求めて詰めかけたころだ。「仕込み職人『蔵人(くらびと)』は毎冬、能登半島から来ていました。ここには加賀藩の飛び地もあったと聞きます。かつては人と物の交差点だったんですね」。

豊富な湧き水を利用する共同の場

地区の人々は湖と共に生きてきた。家々の間には数軒おきに、湖へと抜ける小径「ヅシ」があり、豊富な湧き水を利用する共同水場「イケ」が町中に設けてある。浜には、小さな桟橋のような木板「橋板」が沖に向けて突き出されている。ここで生まれ育った小多明さんによると「水道のない時代は朝、橋板で顔を洗い、炊事や洗濯もしました。今でも野菜の泥を落としたりするのに使いますよ」

海津・西浜の南にある知内川は、滋賀県内有数のアユ、ビワマスの遡上河川で、ヤナ漁などの伝統的な漁法が今も伝わっている。これらの歴史遺産と人々の生活が織りなす水辺の景観は4年前、地域文化財として文化庁から「重要文化的景観」に指定された。


小多さんや吉田さんたちはこれを機に「海津・西浜・知内地域 文化的景観まちづくり協議会」を組織し、地域文化の保存と活用に取り組んでいる。町おこしの第1弾として11月、湖上から石積みを眺める遊覧船を運航したり、伝統的な漁法を見学したりするイベントを開催する計画だ。「観光化については住民にさまざまな意見があります。バランスをとりながら少しずつ、前へ進める必要があります」と指摘する吉田さんは、「イベントを通じて、町の歴史的・文化的な価値をまず住民に知ってもらいたい」と抱負を語る。

地域文化や生活に溶け込んだ美しい「水景」を訪ねる。

(文=編集委員 竹内義治、写真=玉井良幸)

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