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常に開かれている浄土の扉

古きを歩けば(51) 西本願寺の総門(京都市)

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NIKKEI STYLE

国宝に指定されている飛雲閣や北能舞台など数々の名建築が伝わる浄土真宗本願寺派本山の西本願寺(京都市下京区)に、特異な立地で目を引く門がある。「総門」と呼ばれる門で、京都の町を南北に走る広い堀川通によって通の西側にある西本願寺の境内と切り離され、堀川通と交差する正面通の入り口に立っている。しかも、門の周囲に塀や垣などはないうえに門扉は常に開かれているため、乗用車がごく当たり前に門を通り抜けて「何のための門だろう」といぶかしく思う観光客も多い。

親鸞聖人450回忌に建立

同寺によると、古文書や絵図から総門は宗祖・親鸞聖人四百五十回忌に合わせた境内の改修事業の一環として、宝永8年(1711年)に建立されたと見られるという。門は「高麗門」と呼ばれる形式で、門扉の上に大きな屋根、左右の控柱(脇柱)の上に小さな屋根を設けている。高麗門という形式自体は豊臣秀吉が朝鮮半島に出兵した文禄・慶長の役ごろに城郭建築で用いられ始め、江戸時代になって神社仏閣の出入り口を仕切る門としても造られるようになったとされる。

京都の市中は度々、大火に見舞われたが、総門は建立時のまま伝わっているとされる。元治元年(1864年)の大火で同寺は総会所などを失ったが、総門はあわやのところで焼失を免れたという。

3度目の移築は戦後高度成長期

その総門は「古文書で確認できる限り、これまでに3度移築されている」と浄土真宗本願寺派の東森尚人所務部長は話す。1度目は中興の祖・蓮如上人四百回忌の明治31年(1898年)。類焼防止対策で西本願寺門前の土地(現在の堀川通)を広げて噴水池を備えた園地「風致園」を設けるに当たり、距離は定かではないが東に移した。


2度目の移築は明治44年(1911年)。親鸞聖人六百五十回忌を控えて多くの参拝者が見込まれたことから、「参拝者の往来の妨げになる」として噴水池を埋めたてて元の場所に戻したと伝わる。

そして3度目が昭和34年(1959年)で、元の場所から東へ約6メートル、北へ約45センチの現在地に移した。東方向に移動させたのは交通量の増加に対応して堀川通の拡張が計画され、京都市からの要請で西本願寺はこの10年前に門前の土地を売却したためだ。北方向への移動は正面通に門の中心を合わせるためで、親鸞聖人七百回忌の記念事業の一環で補修して移築したとの記録が残っているという。その結果、袖垣が取り除かれて現在の門のみの姿になり、門の両側部分は堀川通の東側歩道の敷石上に立つ具合になった。ちなみに正面通の名称も江戸時代は「御前通」と呼ばれるなど、何度か変わっているという。

京都都市計画の変遷映す

総門のそもそもの役割は、門徒や商工業者らが住む寺内町と仕切ることにあったようだ。その証拠の1つは門扉。門は仏具店や雑貨店などが立ち並ぶ正面通方向ではなく、現在の堀川通の往来に向かって開く構造。あくまでも西本願寺の備えとして造られたのだ。

西本願寺によると、かつて総門は複数設けられていたという。古文書などに「北総門」「南総門」などの記述があるためで、その中で現在残っているのが正面通りの総門ということらしい。

総門が建立されて約300年。西本願寺の側から総門を臨むと開いた門扉の向こうに正面通に立ち並ぶ仏具店が見え、正面通側から臨むと堀川通を行き来する車両越しに西本願寺の御影堂門が目に入る。事情を知らなければ不思議な立地に思える門だが、その変遷をたどると同寺の寺域整備の様子ばかりでなく、京都の都市計画の一端までをも語ってくれる建造物の1つだ。

(文=編集委員 小橋弘之、写真=尾城徹雄)

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