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歴史博士

今に伝わる経版木6万枚、日本の出版事業の原点 萬福寺・宝蔵院(京都府宇治市) 古きを歩けば(19)

2012/2/21

 ■今も大般若経を手刷りで作成

重要文化財の「銀眼版一切経」などを収める黄檗宗萬福寺・宝蔵院の収蔵庫

 宝蔵院は収蔵庫の2.3階をすべて版木の収蔵スペースにし、収蔵庫の一角で今も摺(す)り師が版木を使って大般若経を手刷りしている。事業に携わる摺り師は「ここのものを扱って30余年」という大ベテラン。大般若経は版木が江戸前期にできて以来、2000部以上刷られたとされるが、現在も十分使える。摺り師は「版木の最大の敵はひび割れをもたらす乾燥。ここの版木は、刷る作業が適度の湿気を保つことにつながっている。版木の材の桜は堅く、版木に墨をひくためのブラシの方がどんどん摩滅する」と話す。

【アクセス】JR奈良線・京阪電鉄宇治線「黄檗」駅下車、ともに徒歩約5分。

 宝蔵院収蔵庫の入館者は年間約900人。内訳は3分の1が出版関係者、もう3分の1が活字のデザイン関係者、あとは一般の人といい、住谷住職は「日本における本格的な出版事業の始まりを見たいと思って、宝蔵院の版木を見にいらっしゃるようです」と話す。

 (文=小橋弘之、写真=沢井慎也)


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