――周囲に手伝ってくれる大人はいますか。

「夫は仕事が忙しく深夜まで帰ってきません。実家の両親らに頼ると、お互い気を使うのであまりお願いしていません。『お手伝いさんがいるのですか』と尋ねられることもありますが、いえいえとんでもない。子どもたちが家事を担うので、ある意味お手伝いさんだらけです」

助産師の小林寿子さんと子どもたち(大阪市阿倍野区)

――共働きが成り立つ秘訣はそこでしょうか。

「そうですね。共働き家庭に適応しやすいように子どもを育てるというのは大きなポイントです。『家の事と書いて、家事なんやで。ママがするって誰が決めたの。みんなの仕事でもあるんやで』と常に言っています。10人目の娘が生まれてから、私自身はまだ一度も沐浴(もくよく)をしていません。上の子たちが率先してやってくれます」

「うちの子は、小学校の中学年になれば、冷蔵庫の残り物でごはんを作れます。小さい子が夜中に嘔吐(おうと)したら、上の子が手分けしてタオルを取りに走り、拭いてくれる。あっという間に片付きます。朝ご飯は私が午前4時半に起きて、パンやごはん、味噌汁など和洋食の品をそろえて置いておくと、みんながセルフで食べます。大きい子と小さい子がペアになって面倒を見てくれるので、その間に夫婦で掃除や洗濯をします」

――それでも、夫の帰りが遅いことに不平や不満を感じませんか。

「実は4人目の出産ぐらいまでは、どうして私ばかりが家事を頑張らなくてはいけないのかとイライラしてばかりでした。でも5人目くらいから『夫に過度に期待することが間違っていた』と考えるようになり、一気に楽になりました。たまに食器洗いや洗濯をしてくれるだけで、ものすごくうれしいと感じられるようになった。それからは夫婦円満です。夫も休日ともなれば、家族のために100%の時間を使う、子ども好きな人です」

――専業主婦から助産師への復職、開業とキャリアを築いてこられました。両立のコツはありますか。

「仕事のために子どもをあきらめたり、子どものために仕事をあきらめる、という女性は多いです。でも、ぜいたくな私は仕事も子どももあきらめたくなかった。家事と育児、仕事を同時並行して、要領よく進めることを意識しています。育児書だけをあてにしたり、『こうあらねばならない』という思い込みから自由になることが大切なのではないでしょうか」

「たとえばセミナーを頼まれたら、子連れで行き、授乳しながら話をすることもあります。離乳食作りに母乳を使ったり、風呂や買い物の途中に授乳したり。時間はいくらだって作れる、ぐらいに考えています」