神と向き合うやまとの宴古きを歩けば(50) 春日大社の饗膳(奈良市)

2013/3/19

神道では、神に献じた食物(神饌=しんせん)には神気が宿り、祭の後で神前から下げて食べると、神気を体に取り込んで加護を授かるとされる。この食事が直会(なおらい)だ。奈良市の春日大社では本殿での正式参拝後、古儀にちなんだ直会「饗膳(きょうぜん)」を食することができる。

春日大社の直会、「饗膳」の一つ「中旬の献」。2つの椀ものと濁り酒が付く(奈良市)

高く盛り付けるウイキョウ飯

「饗膳」の一つ「愛敬祝儀膳」。円筒形に高く盛り付けられた練り飯にはウイキョウが混ぜ込んである

饗膳の一つ「中旬の献(こん)」が運ばれてきた。盆に載せられた四角い杉板の上に並ぶのは、豆入りの白蒸し御強(おこわ)、ブリの塩焼きやタイの刺し身、なます、たたきゴボウ。ミカンの隣に丸く固めた小豆あんが添えてある。さぞ甘いのでは、と口にすると意外にも塩味で驚く。さらにタイのすまし汁と丸餅の雑煮、濁り酒も付く。

もう一つ、「愛敬(ういきょう)祝儀膳」という饗膳もある。盆の中央には、円筒形に高く盛り付けられた練り飯。ウイキョウ(セリ科の薬草)が混ぜ込まれ、口に含むと独特の香りと食感がする。周囲を囲むように並ぶ8枚の皿には高野豆腐、長芋と昆布巻き、シイタケ、焼き魚、矢羽根形に刻んだレンコン、粟麩(あわふ)と湯葉、ゴボウのみそあえ、もろみみそを添えたキュウリとクルミ、ユズあんの干し柿巻。ほかに吸い物が付く。

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