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古代寺院の仏塔群映した天平の大和川

鳥坂寺跡(大阪府柏原市) 古きを歩けば(34)

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NIKKEI STYLE

天平勝宝8(756)年2月24日、孝謙天皇は父の聖武太上天皇、母の光明皇太后と平城宮を発ち、難波へ向かった。道中、大和川沿いに並ぶ「河内六寺」に立ち寄って順に参拝した――。続日本紀などはこう伝える。その1つが今年1月、国史跡に指定された鳥坂(とさか)寺跡だ。

大和川に沿って林立

6寺があったのは現在の大阪府柏原市。周辺には当時、河内国分寺など約20の寺が密集していた。「古代寺院がこれほど集まっていた地域は他には飛鳥、斑鳩だけ。仏教の先進地域でした」と、近畿大の大脇潔教授は指摘する。信仰のあつい渡来系氏族が多数、住んでいたとみられる。

大和川は古代の海の玄関口、難波津と平城京を結ぶ交通路だった。川沿いに仏塔が林立する景観に「都へ向かう海外の使節も感心したはず」と、大脇教授は思いを巡らす。

6寺のうちの1つ、智識寺は、信徒たちが資財や労働力を持ち寄って建立されたといわれ、立派な盧舎那仏があった。天平12(740)年、聖武天皇は同寺に行幸して盧舎那仏を拝み、信徒らが協力して寺を運営する様子を目の当たりにする。それが3年後、「一枝の草、一握の土をもって手助けしようと願う者があれば許可する」とした東大寺の大仏建立の詔につながった、とされている。

10世紀頃まで存続か

ただ、これらの古代寺院はいずれも現存しない。これまでに伽藍(がらん)の全容が発掘でほぼ解明できたのは、六寺のうち鳥坂寺しかない。

かつては高井田廃寺とも呼ばれたが、「鳥坂寺」と墨書された土器が出土。続日本紀などに登場する寺と確かめられた。このように古代の寺跡の当時の名称が判明した例は、実は珍しいという。昭和4(1929)年には高さ約1.3メートルもある巨大な鴟尾(しび)が掘り出され、現在は東京国立博物館が収蔵している。

伽藍(がらん)は講堂、金堂、中門が南北に一列に並ぶ配置で、塔は南西に少し離れて立っていた。南東では僧坊や食堂とみられる建物跡も見つかった。出土した土器などの分析から、7世紀後半に建立され、10世紀頃まで存続したと考えられている。また金堂の基壇は立派な石積みとなっており、8世紀に改修されたとみられる。「孝謙天皇らの行幸に備えて見栄えを整えた、との見方があります」と同市教育委員会の山根航さんが説明してくれた。

遺構の下に古墳群?

2009~10年の発掘では、大がかりに整地した痕跡と共に、盛り土から埴輪(はにわ)の破片が多数出土した。過去の調査では石棺を転用した石材も見つかっている。「一帯にはもともと、古墳群があったようです。傾斜地に伽藍を建立するため、古墳群を壊して大規模に造成したとみられます」と山根さんは話す。大脇教授は「古墳造営から数百年がたち、『先祖の墓』という意識が無かったのでは」と考えている。

現在、金堂や講堂などの遺構はブドウ畑の下に眠っており、塔跡には天湯川田神社が建てられている。同神社は、鳥取県の地名の由来となったとされる古代氏族、鳥取氏の氏神。鳥坂寺の建立にも鳥取氏が関わったのでは、とみられている。国史跡となったことを受け、寺跡は今後、歴史公園として整備される方針だ。


このほど鳥坂寺の伽藍を30分の1スケールでよみがえらせた精密模型が完成した。大阪府立近つ飛鳥博物館で24日まで展示中だ。手がけたのは、柏原市にあった古代寺院の姿を模型や絵画、CGで復元することに取り組んでいる地元の歴史愛好家グループ「柏原市市民歴史クラブ」。制作にあたっては同市教委の監修を受け、正確さは折り紙付きという。「模型を使って寺の特徴を説明すると、見学者が驚いたり感心したりしてくれるのがやりがいです」と代表の長沢星二さんは話す。「柏原にこれだけ多くの寺が集中し、運営できたのは、やはり民衆の幅広い支援があったからではないでしょうか」。(文=編集委員 竹内義治、写真=尾城徹雄)

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