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京の裏鬼門まもった神仏習合の山

石清水八幡宮(京都府八幡市)古きを歩けば(36)

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NIKKEI STYLE

背中に羽の付いたみやびな装束姿の子供が、橋のたもとでそっと手おけを傾けて、川に魚を放つ。橋の上では神官がかごを開け、空に鳥を放つ。その後、子供たちは雅楽にのせて「胡蝶(こちょう)の舞」を披露し、八幡神に奉納した。

クライマックス「放生行事」

15日、勅使が派遣される三大勅祭の1つ「石清水祭」が京都府八幡市の石清水八幡宮で催された。祭典は深夜、男山の山上にある本殿で3基の鳳輦(ほうれん=みこし)に神霊を遷(うつ)す儀式で始まった。神職ら約500人が行列を組んでたいまつやちょうちんの明かりを頼りに鳳輦を麓に担ぎおろし、神饌(しんせん)をささげる儀式などを執り行った後、午前8時過ぎ、男山の麓を流れる放生川に魚や鳥を放つ放生行事でクライマックスを迎えた。

放生行事はもとは殺生を戒める仏教の戒律から生じた儀式で、「石清水の神仏習合のありようを象徴する」とされる。京の裏鬼門にあたる男山に859年、鎮護国家のため宇佐八幡宮(現宇佐神宮、大分県宇佐市)から八幡神を勧請したのは真言宗の僧、行教だ。翌年、朝廷により社殿が造営され、伊勢神宮に次ぐ第2の宗廟(そうびょう)として皇族や貴族のあつい信仰を集めた。石清水遷座のころには、すでに完全に神仏習合が行われていたとみられる。

明治維新までは「石清水八幡宮寺」と呼ばれ、天皇家や時の有力者らの寄進を受けて本殿の周囲に大小さまざまの社や仏塔、宿坊が密集して立ち並んでいた様子が、古絵図などの史料で伝わっている。「たくさんの神と仏がまつられ、神と仏の曼荼羅(まんだら)的な空間だったようです」。同市教育委員会の大洞真白さんはこう表現する。

廃仏毀釈を逃れた「八角堂」

だが明治維新期の神仏分離で、男山にあった多くの仏教施設はほぼ全てが破却され、仏像や仏具は完全に散逸してしまった。この時、本殿の1.7キロほど南東にある古墳の墳頂に移築された八角堂が唯一、現存する仏堂だ。淡路島の東山寺には、男山にあった薬師如来像と十二神将像が廃仏毀釈を免れて移され、国重要文化財に指定されている。

男山の麓から本殿を目指して参道を登ると、中腹に石垣に囲まれた平たん地が棚田のように重なり、神と仏が同居していた巨大宗教施設が山中に広がっていた名残を今にとどめている。同市教委は5年前から境内を詳細に調べ、一部を発掘。宿坊などの遺構が非常に良好な状態で残っていることが分かり、神仏習合の宮寺の全容が浮かび上がった。「建物の縁石や井戸の跡、階段といった遺構が、地表の腐植土を除けるだけで確認できました。いずれもほぼ手つかずで残存し、文献史料と一致しました」。調査を担当した大洞さんが説明してくれた。

小堀遠州「空中茶室」跡か?

境内にあった護国寺跡の発掘では、火事で焼けた本堂を19世紀に再建した際の遺構と共に、地鎮のため埋納した銅製の密教法具「輪宝(りんぼう)」「独鈷杵(とっこしょ)」が出土。密教の儀式が連綿と行われてきたことを裏付けた。山腹では、がけ面から空中にせり出す「懸(か)け造り」構造の建物跡を発見。ここは江戸前期に文化人として活躍し、松花堂弁当の名前の由来となった八幡宮寺の僧、松花堂昭乗が暮らした「瀧本坊」の一角にあたり、建物跡は茶人・建築家として知られる小堀遠州が手がけた"空中茶室"の跡では、と注目を集めた。

「男山に凝縮した日本独特の思想」

一連の調査成果を受け、「我が国の宗教史を理解する上で重要」として今年1月、石清水八幡宮境内は国史跡に指定された。「今は失われてしまった、日本独特の思想や宗教が男山に凝縮していた当時の様子が現代によみがえりました」。石清水八幡宮の西中道・文化事業部長は感慨深げだ。

おりしも石清水八幡宮では近年、京都や奈良の寺院と合同で祭事に取り組んでいる。「天変地異や政治経済の混乱が続く中、鎮護国家のために社寺が力を合わせようという思いです」と西さんは話す。2003年に清水寺と共に「国家安泰世界平和祈願祭」を営んだのをはじめ、石清水祭の放生行事にも04年と11年、延暦寺の僧侶が参加した。この行事が始まって1150年となる来年も、僧侶を招くことを検討中だ。

(文=編集委員 竹内義治、写真=尾城徹雄)

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