2012/7/24

9月9日に「烏相撲」

重陽の節句には児童による烏相撲が奉納される

こうした立砂が重要な位置を占める神事がある。毎年9月9日の重陽の日に、斎王代(さいおうだい)の陪覧のもとで細殿の前で行われる「烏(からす)相撲」だ。この神事は同社の祭神の祖父が不思議な大烏「八咫烏(やたがらす)」になって神武天皇を先導したとの八咫烏伝説と、稲などに不作をもたらす悪霊退治の信仰行事としての相撲などが結びついて行われるようになったもの。児童20人ほどが2組に分かれて奉納相撲をとるが、相撲をとる前に児童は行事に引率されて立砂を3度回るならわしになっている。このならわしのもとについて、藤木さんは「神の依代を回ることで神の力をいただき、相撲に勝てますようにとの願いを込めてでしょう。勝つと豊作が見込めると信じられたようです」と話す。

【アクセス】京都市営地下鉄北大路駅下車、徒歩20分強。

同社の立砂はある風習の起源になったともされる。地鎮祭や厄払いに砂や塩をまく風習だ。いつのころか同社から砂を持ち帰って土地を清めるためにまく人が現れ、そのうちにけがれを払う力があるとされる塩を砂の代わりに用いる風習も広まったとする見解がある。同社では希望者に立砂を授与しているが、希望者数は着工戸数など経済状況を映して増減があるという。神代の出来事に端を発する立砂だが、その立砂にからんで社会状況を映す事象が起きているのはなんとも面白い。

(文=編集委員 小橋弘之、写真=葛西宇一郎)

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