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前例や上司の「ノー」に屈せず 米空軍最上級曹長 デニス・ジェリンスキ・ホール氏

2013/5/12

米国防総省は今年1月、女性の戦闘部隊への配属を禁じた米軍規則の撤廃を発表した。女性の潜水艦乗務も解禁し、2008年には初の女性大将が誕生するなど女性の登用が進みつつある。女性幹部の一人で州兵総局の事実上のナンバー3を務めるデニス・ジェリンスキ・ホール空軍最上級曹長に米軍での女性のキャリアについて聞いた。

――女性の戦闘部隊配属解禁をどう思いますか。

デニス・ジェリンスキ・ホール空軍最上級曹長

「米軍では男女にかかわらず、能力の基準を満たしているかどうかが重要になります。男女別の基準を設けるべきではなく、女性が基準を満たしていれば相応の任務に就く機会を与えられるべきです」

「私は小さな町の農場で育ち、大学に行くお金がなかったため就職しました。銀行で働いていた時に米軍の勧誘を受け、即座に仕事を辞めてすべてを売り払って志願したのです。私の経歴は空軍の管制官など男性中心の職場ばかりでした。女性であることを計算に入れないようにしてきたので、不利だと感じたことはありません。ただ、自分の能力を証明するために人一倍努力はしてきました。もっと訓練を受け、もっと速く学び、もっと積極的にと心がけてきたのは事実です」

――女性の昇進も増えつつあります。

「若い兵士たちにとって、幹部の中に女性や黒人、ヒスパニック(中南米系)など自分を投影できる人物がいることは重要です。自分自身、女性兵士のメンター(指導者、助言者)、ロールモデル(規範)にならなくてはならないという責任を感じています。若い女性兵士が自分にもリーダーになる機会があると意欲を持ってもらえればうれしく思います」

「私は常にリーダーシップ能力を身につけることができる役職の機会を探し、必要な準備をしてきました。また、上司に『ノー』と言われてもそのまま引き下がることはせず、丁重に『私がこの仕事に就けないという規則はどこにあるのでしょうか』と説明を求めました。前例や『ノー』を受け入れてきていたら、今の地位にはいなかったでしょう」

「メンターを見つけることも重要です。自分が居心地のいいところで満足せず、自分を試すこと、戦略的なリスクを取ることも必要です」

――家庭との両立で苦労したことはありますか。

「私が入隊した約30年前には、女性は仕事か家庭かを選ばなくてはならない場合が多かったのですが、現在では両立する女性が増えました。特に州兵はパートタイムの選択肢もあり、子育てを終えて復帰するなど人生の段階に合わせてキャリアを調整することも可能です」

「ただ、州兵は自然災害など州の任務に就くこともあれば、有事の際には戦場に派遣されることもあります。その時の任務の重要性と家庭の優先事項を慎重に計る必要があります。最も重要なのは上司と部下の緊密なコミュニケーションだと思います」

(聞き手はワシントン支局 芦塚智子)

デニス・ジェリンスキ・ホール氏 米空軍の「たたき上げ」である下士官の中では最高階級の最上級曹長で、州兵総局の事実上のナンバー3も務める。1984年に入隊。空軍管制官やハワイ州兵下士官トップなどを経て、2010年2月から現職。今夏に退役予定。4人の子供と孫6人がいる。

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