WOMAN SMART

朝・夕刊の「W」

オーストラリア 自然体で協働、男女とも変わる働き方 Wの未来 男も動く

2013/8/9

女性活用を声高に言わずとも、すでに働く女性の姿が日常に溶け込んでいる風景が南半球にある。オーストラリアのシドニー。朝7時台のラッシュ時のバスに、スーツ姿の女性がベビーカーを押して乗り込んできた。遠慮や申し訳なさそうなそぶりはみじんもない。乗客も当然という顔で、さっと親子のために空間をつくる。

■男性行員にも2週間の有給育児休暇

「男女で不公平感? 感じたことはない。子どものために休みを取るとしたら、男女を問わず取れるし」。管理職の女性比率を高める目標を導入した銀行で働く男性行員(38)は「女性優遇が気にならないか」との記者の質問に困惑顔だ。「女性のほうが家庭や子育てでの負担は大きいから、企業が処遇を手厚くするのは当然と思う」とも話す。

豪州の女性が一生に産む子どもの平均数は1.89人と北欧やフランス並みの多さ。物価や人件費の高さを反映し、就学前の子どもが通う保育園はシドニーで1日100豪ドル(約9000円)前後かかる。その高額さや順位待ちリストの長さから「キャリア(career)かケア(care=子育て)か」の選択に頭を悩ませる女性が多い点は日本と似る。ただ、共働きの夫婦が育児や家事を分担するため、仕事を定時で終えるのは男女とも当たり前という風土で、職場も多様な人材の受け入れに積極的だ。

共有席で仕事を済ませたら、帰社時には卓上をきれいに片付けるのがルール(富士ゼロックスオーストラリア)

豪四大銀行の一つ、ウエストパック銀行は女性のゲイル・ケリー最高経営責任者(CEO)の下、女性の管理職登用に力を入れる。管理職に占める女性比率を40%にする目標を予定より2年前倒しして2012年に達成し、現在は42%。男性にも柔軟な働き方を奨励し、男性行員にも2週間の有給育児休暇を認めている。

「女性活用はあらゆる社員が働きやすくなるための施策の1つ。ほかにも高齢者活用などを通じ、職場の多様性を高めている」(同行)という。多様性をイノベーション(技術革新)の土壌にする狙いだ。

■自分の席はなく、共有スペースで仕事

ABW導入後の私用スペースはこのロッカーのみ(富士ゼロックスオーストラリア)

一歩進んだ働き方も普及し始めた。「うちもABWを始めたよ」――。豪州で大手銀行や会計事務所が相次ぎ導入し、注目を集める勤務形態が「アクティビティー・ベースト・ワーキング(ABW)」だ。働く場所を固定せず、仕事内容や成果を重視する。もちろん在宅勤務も可能だ。職場に来てもいいが、自分の席はない。共有スペースに自分のパソコンを持ち込んで仕事をする。報告や決裁はクラウド上の社内サーバーにアクセスして行う。評価は成果で決まるため、懸命に働く姿を上司や同僚にアピールしようと会社に長時間いる意味は全くない。

生産性を高める次世代の働き方として、大手会計事務所や金融機関などがシドニーや豪州西側のパースなどでABWを相次ぎ導入している。導入企業の1つ、富士ゼロックスオーストラリア(本社シドニー)のコンサルタント、アリアン・ファルケンバーグさんは「働き方は大きく変わったわ。成果を出すことに集中できる」と喜ぶ。席が固定されていないことで同僚や顧客とのコミュニケーションはむしろ深まったという。同社で人事を担当するマーガレット・アン・ギルバートさんは「以前よりも柔軟な働き方が可能になり、優秀な人材の採用や人材流出の防止に役立っている」と話す。「自由度」の高い働き方は女性、男性を問わず支持されているという。

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