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オーストラリア 自然体で協働、男女とも変わる働き方

Wの未来 男も動く

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 女性活用を声高に言わずとも、すでに働く女性の姿が日常に溶け込んでいる風景が南半球にある。オーストラリアのシドニー。朝7時台のラッシュ時のバスに、スーツ姿の女性がベビーカーを押して乗り込んできた。遠慮や申し訳なさそうなそぶりはみじんもない。乗客も当然という顔で、さっと親子のために空間をつくる。

男性行員にも2週間の有給育児休暇

「男女で不公平感? 感じたことはない。子どものために休みを取るとしたら、男女を問わず取れるし」。管理職の女性比率を高める目標を導入した銀行で働く男性行員(38)は「女性優遇が気にならないか」との記者の質問に困惑顔だ。「女性のほうが家庭や子育てでの負担は大きいから、企業が処遇を手厚くするのは当然と思う」とも話す。

豪州の女性が一生に産む子どもの平均数は1.89人と北欧やフランス並みの多さ。物価や人件費の高さを反映し、就学前の子どもが通う保育園はシドニーで1日100豪ドル(約9000円)前後かかる。その高額さや順位待ちリストの長さから「キャリア(career)かケア(care=子育て)か」の選択に頭を悩ませる女性が多い点は日本と似る。ただ、共働きの夫婦が育児や家事を分担するため、仕事を定時で終えるのは男女とも当たり前という風土で、職場も多様な人材の受け入れに積極的だ。

豪四大銀行の一つ、ウエストパック銀行は女性のゲイル・ケリー最高経営責任者(CEO)の下、女性の管理職登用に力を入れる。管理職に占める女性比率を40%にする目標を予定より2年前倒しして2012年に達成し、現在は42%。男性にも柔軟な働き方を奨励し、男性行員にも2週間の有給育児休暇を認めている。

「女性活用はあらゆる社員が働きやすくなるための施策の1つ。ほかにも高齢者活用などを通じ、職場の多様性を高めている」(同行)という。多様性をイノベーション(技術革新)の土壌にする狙いだ。

自分の席はなく、共有スペースで仕事

一歩進んだ働き方も普及し始めた。「うちもABWを始めたよ」――。豪州で大手銀行や会計事務所が相次ぎ導入し、注目を集める勤務形態が「アクティビティー・ベースト・ワーキング(ABW)」だ。働く場所を固定せず、仕事内容や成果を重視する。もちろん在宅勤務も可能だ。職場に来てもいいが、自分の席はない。共有スペースに自分のパソコンを持ち込んで仕事をする。報告や決裁はクラウド上の社内サーバーにアクセスして行う。評価は成果で決まるため、懸命に働く姿を上司や同僚にアピールしようと会社に長時間いる意味は全くない。

生産性を高める次世代の働き方として、大手会計事務所や金融機関などがシドニーや豪州西側のパースなどでABWを相次ぎ導入している。導入企業の1つ、富士ゼロックスオーストラリア(本社シドニー)のコンサルタント、アリアン・ファルケンバーグさんは「働き方は大きく変わったわ。成果を出すことに集中できる」と喜ぶ。席が固定されていないことで同僚や顧客とのコミュニケーションはむしろ深まったという。同社で人事を担当するマーガレット・アン・ギルバートさんは「以前よりも柔軟な働き方が可能になり、優秀な人材の採用や人材流出の防止に役立っている」と話す。「自由度」の高い働き方は女性、男性を問わず支持されているという。

女性従業員は年金2%増し

豪州は国土が日本の20倍と広いが、人口は5分の1。労働集約的な産業が発達しづらく、サービス業が国内総生産(GDP)の7割を占めるという産業構造も、女性活用に有利に働く。2007年に与党となり、ギラード前首相やウォン予算相らの活躍でも知られる労働党政権下で、短時間勤務や在宅勤務など柔軟な働き方を模索する動きはいっそう進んだ。

女性従業員は年金2%増し――。豪保険サービスのライス・ワーナー・アクチュアリーズは7月から女性社員を対象に、年金拠出の企業負担比率を2%増やした。男女で年金の拠出比率を変えるのは豪州では初のケースとみられる。「賃金や年金の男女格差を是正し、優秀な人材の確保につなげる」(メリッサ・フラー副社長)狙いがある。

豪州では給与額に対し一律の比率をかけた金額を企業が年金基金に拠出する。この比率は7月、それまでの9%から9.25%に引き上げられた。ライス社はこれを機に女性社員のみ11.25%とすることを柱とする福利厚生パッケージを開始した。

方針が内外に発表された7月31日朝、社内では歓声が上がったという。同社で働く35人のうち11人が女性。「皆、働く意欲が増して、会社の雰囲気もすごく前向き。コストよりメリットの方が大きい」とフラー副社長は笑顔を見せる。「女性優遇」への男性社員の反応は? 「支持してくれている。妻が働いていたり、娘がいたり、女性が育児などで大変な状況にあることは分かっているから、理解できると言ってくれている」

女性の賃金、男性より18%低く

同社は導入を前に、豪州人権委員会に対し、今回の取り組みが男性への逆差別にあたらないかを照会。問題はないとのお墨付きを得た。同委員会の判断の背景には日本と同様、豪州でも女性は育児や介護のため一時的に職場を離れ、賃金の安いパートタイムで復帰するなど男性に比べ生涯所得が低いことがある。同社の調査によると、豪州の女性の賃金は男性より18%低く、65歳で引退した場合の女性の年金額は男性の6割にとどまる。女性の方が長寿傾向にあるため、老後の貧困問題にもつながりやすいという。

既存の壁を取り除き、男女ともに働きやすい環境をどうつくっていくのか。家庭と仕事の両立(ワークライフバランス)をどう実現していくのか。国や企業が、そして個人が豪州ならではの最適解を探る取り組みは続く。(シドニー=高橋香織)

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