米ブランド、SNS・ツイッターでファン開拓(NYコレ11秋冬)

雑誌広告の影響力が低下する中で、ファッションブランド各社が、デジタルコンテンツを使ったブランド構築に乗り出している。自社のブログ上に独自のコンテンツを提供。交流サイト(SNS)のフェイスブック、ミニブログのツイッターなどと連携して利用者をファンとして引き込み、顧客を開拓していく試みだ。

ダナ・キャランはサイト上に顧客がデザイナーに直接質問できる「ASK DONNA」欄を設けるなど、双方向の交流に力を入れている

ネット上での情報発信は、デザイナー本人の語りかけやファッションアドバイス、トレンドを重視した読み物などが中心だ。完全な広告でもなく、客観的に書かれた記事とも言い難いあいまいな領域が、新しい顧客づくりのツールとして注目されている。

ダナ・キャランは自社サイトの中に「ダナズ・ジャーナル」と題したコーナーを設けている。顧客がデザイナーに直接質問できるなど、パーソナルな関係構築を狙っている。ファンからの「あなたがニューヨークの中で一番好きな場所は?」という質問には、「セントラル・パーク」と答えが書き込まれていた。

ダナが最近お気に入りのセネガル産ビーズネックレスにまつわる思い出話をつづるコーナーもある。ここからネックレスの販売サイトに飛べるなど、自然な空間作りに気を配っている。同社はツイッターの影響力も重視しており、ニューヨークの広報担当者が毎日、つぶやきを発している。

トリー・バーチは販売サイト「トリー・バーチ・ドット・コム」にデザイナーのトリーのブログを掲載。ファッションウィーク直前に自作品の一部を舞台裏として見せ、解説をつけた。期間中は本人の体験日記を毎日更新するなど、友達からの通信を読む気分にさせるという。

トリー自身もツイッターの常連で、出張中に空港の身体検査で靴を脱がされることに「ファッション的にかなりぶざま。こういう時の旅行用ソックスをデザインすべきかしら」などとフォロワーにアイデアを投げかけることでも有名だ。

いくつもの高級ブランドを抱える仏モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)は、昨年2月に創刊した「ナウネス」という会員制ブログで話題物を毎日1つずつ発信する。時の人へのインタビュー、先端的なアート、短編フィルム、芸術的なコマーシャル写真――。傘下ブランドに限らず、時には競合ブランドまでカバーし、業界人が喜んでチェックしそうな話を盛り込んでいるのが特徴だ。

対象顧客層が若ければ若いほど、デジタル媒体への働き掛けは必至となる。ジョルジオ・アルマーニのカジュアル衣料ライン、アルマーニエクスチェンジはかつて、広告媒体の予算を印刷媒体7割、屋外ビルボード2割、デジタル1割と配分していた。それが10年にはデジタルへの配分を4割に拡大したという。

さまざまのマーケティング戦略が浮いては消える中で、SNSの台頭でインタラクティブ性と緊密なつながりに一段と注目が集まる。ファッション界のソーシャルメディアを対象にした「ファッション2.0アワーズ」という業界賞も制定されるなど、デジタルコンテンツ重視の動きが一段と加速しそうだ。(敬称略)

(ニューヨーク=河内真帆)

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