2013/5/13

「これは経営者が、育児休業を取得して戻ってきて活躍している人を見せつけてあげればいい。当社には2人の子どもがいて短時間勤務をする副本部長がいます。分かりやすいじゃないですか。大企業では男性勝りの働き方をする女性を昇進させる例がありますが、そういう働き方をしなさいというメッセージになってしまいます」

――社会全体で育児休業をとりやすくするための突破口はありますか。

青野慶久社長

「育児休業の期間を3年間にしようという話がありますが、男性と女性で合わせて3年という仕組みにしてはどうでしょうか。男性が1年半、女性が1年半という形で順番は前後してもいい。北欧には育児休業の期間を男性にも割り当てる制度があります。男性を強制的に育児へ参加させる制度は機能すると思います」

――女性が働くことは、企業にどのような意味がありますか。

「女性の雇用を重視しない企業は、自動的に縮小していくと感じています。これからがイノベーティブ(革新的)な時代になるならば、企業は多様な価値観を認めなければなりません。男女の違いだけでなく、男性の中でもリーダーシップのある人がいれば、サポーター型の人もいる。多様な人材を集めて、議論して、面白いものを作ろうということにならないと、イノベーティブな発想は出てきません」

「多様な人を受け入れて経営をするのは、昔の経営よりはるかに難しい。今の日本では、多くの経営者ができていないことではないでしょうか。今の経営者の間での話題は仕事を辞めなくなった女性をもっと活用したいのに、できないということ。なぜ女性はもっと管理職になろうとしないのか、ということです。女性にもリーダーをやらせてみるという教育の問題があります」

――女性に働いてもらわないと、イノベーションが起こらないと。

「そうですね。もっと多様な話かもしれません。共働きだから収入は少なくても良いとなれば、給料に縛られずに働けるようになります。男性にも色々な選択肢があるはずです」

――働く女性の所得が増えれば、国内の個人消費にも良い影響があるのではないでしょうか。

「今はお金を持っていれば、それだけお金を使うという発想だけでもないかなと。この技術をやりたいとか、この人と一緒に働きたいとか、お客様に感謝されたいとか、仕事の内容にこだわる人もいます」

――働く女性が増えることでのビジネスチャンスはありますか。

「会社で5時間働き、残りの仕事は家でするといった働き方は、IT(情報技術)を使った情報共有が必要なので、ビジネスチャンスだと思います」

(聞き手は加藤修平)

青野慶久氏(あおの・よしひさ) 大阪大卒、松下電工(現パナソニック)に入社。1997年にサイボウズを設立し、2005年社長。3歳と1歳の息子がいる。趣味は野球。愛媛県出身。41歳。