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「男らしさ」から自由に 女性も生きやすく

伊藤公雄・京都大学教授

Wの未来 しなやかに駆ける

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NIKKEI STYLE

 「男もつらいよ」。性別役割分業のイメージを押しつけられ、「こうあるべきだ」と古い価値観に縛られているのは女性だけではない。「男性が〈男らしさ〉から解き放たれることで、女性も生きやすくなる」と説く京都大学文学部の伊藤公雄教授(男性学)に話を聞いた。

――男性学とはどのようなものでしょうか。

「この男性社会を男性の目で読み直し、男性にとってより生きやすい社会を構想するための学問です。女性の目から男性社会を批判的に解剖しようとする女性学に対応する形で1970年代に米国で生まれました」

「女性が抑圧されてきたのは確かですが、一方で男性は『豊かで満ち足りた人生』を送っているのでしょうか。『男らしくあれ』という圧力のもとで窮屈な思いをしてきた結果、多くの男性が引きこもり、過労死、中高年の自殺に至っている。外で家族のために稼ぎ、家族に感謝されていると思い込んでいる夫たちは、妻に愛想をつかされていることに気づかない。熟年離婚を切り出されるのもほとんどが男性。男性受難の時代なのです」

――いまだ根強い「男は外、女性は家庭」という役割分業モデルの考え方はどこからきたのでしょうか。なぜなかなか変わらないのでしょう。

「70~80年代に男性が長時間働き、女性が家事・育児をしながら低賃金のパート労働をするという仕組みで日本は経済成長しました。今の中高年の男性にとって、これがある種の成功体験になってしまっているのです。21世紀になれば日本は少子高齢化で深刻な経済状況に陥ることが90年代には予想されていたのに、男性も女性も働いて社会保障費を支え、消費を活性化するという方向へ社会がかじ取りしなかった。バブル崩壊で景気が悪くなるとさらに70~80年代の成長モデルに引っ張られ、かつての成功体験にしがみついて戻ろうとしたのです」

――なぜ変われなかったのでしょう。

「一般論ですが、男性は変化が怖いのです。不安定な状況になると、前例や成功体験のパターンに戻って身を守ろうとします。少子高齢化という危機が迫っているのに、男性中心の社会は女性の活躍を阻害してきたのです。中高年男性は、女性とともに働く社会が当たり前になっていく変化に冷静に立ち向かう勇気を持たねばなりません」

「男性は女性よりパターン化された人生を歩む傾向にあります。女性は結婚すれば姓が変わったり、妊娠すれば働き方を変えたりと、変化に対応しながら人生を歩みます。一方、男性は就職して定年まで働くという70年代に確立した形式から抜けきれない。女性が労働市場に参入すると男性が築いてきたしがらみが壊されるという恐怖心があるのです」

――とはいえ、近年は女性活用の機運が社会全体で盛り上がっています。男性の意識は変わりつつありますか。

「社会の空気は明らかに変わっています。SMAPがTV番組で料理をしたり、抱っこひもを使いこなして子育てする男性が増えたり。授業で尋ねると、男子大学生の7割が草食系だと自認しています。女性が男性側に働きかけてきた結果ともいえるでしょうが、男性が長時間労働を見直し、家事や育児を担うという意識の地殻変動は起こり始めています」

――男性とひとくくりに言っても、世代で違いがありそうですね。

「いわゆる男のこけんというものは、不況という必然的な外圧でもって20~30代の男性から消えつつあります。そもそも彼ら若い世代は学校の成績や受験勉強で女子生徒に負けた経験がある。女性との競争で勝たねばならないという意識は中高年よりだいぶ薄いでしょう。中高年の男性には、妻の方が収入が高いと暴力をふるったり、離婚が目立ったりしました。今の若い世代は不況で食べていけないから、むしろ共働きでないと困るという男性が増えています」

――男性がメンツを捨てて自由になるために、女性に求められる振る舞いはありますか。

「経済的、精神的に自立に向かって踏み出してほしいです。男性の収入は低迷しているにもかかわらず、最近の調査では専業主婦に憧れる女性が増えているといいます。男性の稼ぎの中で生きていきたい、夫が出世することで自分が認められたい、という依存心がまだあるようです。男性が苦しんでいます」

「ワークライフバランスを大切にして、男性も女性も働き、win-winの関係を築く。長時間労働を規制し、共働き家庭を支援する施策を充実させていかないと日本の将来はありません」

(聞き手は松浦奈美)

 伊藤公雄氏(いとう・きみお) 1951年生まれ。京都大学大学院文学研究科・文学部教授。主な著作に「〈男らしさ〉のゆくえ」「男性学入門」など。内閣府や大阪府で男女共同参画問題の調査委員などをつとめ、行政機関での男女参画の政策にも関わっている。

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