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心に余裕の「ゆるキャリ」 広い視野が開く可能性 エッセイスト・葉石かおり氏 Wの未来 会社が変わる

2013/6/27

滅私奉公はせず、私生活も充実させながら、ゆるやかに働く。そんな女性を肯定的にとらえた言葉「ゆるキャリ」の発案者であるエッセイストの葉石かおりさんに、ゆるキャリという働き方について聞いた。

――ゆるキャリを提唱されたきっかけは。

エッセイスト、葉石かおり氏

「私自身が雑誌記者時代、『バリキャリ(仕事を最優先しバリバリ働く人)』だったことへの反省から生まれた言葉です。バブルの最盛期に就職し、肩肘張っていました。転職を経て、がむしゃらに仕事をしていましたが、上司とそりが合わなかったこともあり、体調を崩して退社しました。父を亡くしたことも大きかったです。一度きりの人生、本当にやりたいことをしよう、自分を大切にしようという思いを強くしました」

「私は現在、1カ月の半分は東京で仕事をし、もう半分は京都でプライベートな時間を満喫しています。京都で家族と過ごしたり、美術鑑賞をしたりすることで充電でき、仕事に対する意欲も増します。公私の切り替えを大事にしています」

――企業から見た、ゆるキャリのメリットは。

「心に余裕があり、コミュニケーションが取りやすいので仕事をまかせやすいと思います。逆に、仕事に忙殺されている人は、一見よく働いているように見えますが、実は個々の仕事の質は落ちていることが多いのです。ゆるキャリは視野が広く、業界の古い論理に縛られない傾向もあります。例えば、私が取材している酒造業界は閉鎖的なところがありますが、ゆるキャリとして働く若い人たちはライバルメーカーなどとも交流し、業界全体の活性化に取り組んでいます」

「企業にとって競争を勝ち抜くことが基本であることに変わりはありません。しかし、社会的視点を持つことも、イメージ戦略やコンプライアンス(法令順守)の観点から重要になってきています。ボランティアなど様々な社外の活動を通じて広い視野を持った社員を抱えることは、企業がバランスの取れた経営をする上でも重要です」

――若い世代には、ゆるキャリを目指す人も多いのでしょうか。

「一概には言えませんが、ゆるキャリ以前に、元気が無い人が目立つ気がします。我々40代に良いロールモデルが少ないからかもしれません。職場で疲弊するバリキャリ世代を見て、働くこと自体に夢が持てなくなっているのかもしれません」

――どうしたらゆるキャリになれますか。

「ゆるキャリは、ただのやる気のない社員ではありません。仕事でのアウトプットとプライベートを通じたインプットのバランスがとれている人ということです。たとえば、人脈をつくる場合、異業種交流会で一生懸命名刺を配り歩くのはバリキャリ的発想。ゆるキャリは、本当に大事な少数の人たちとの私的な交流を大事にします。ここ一番で生きるのは、そういう人脈だからです」

「私生活を充実させて自分のペースを守るには、それなりの自信と実力も兼ね備えている必要があります。上司とのコミュニケーションを密にし、自分が目指すキャリアの方向性を理解してもらうことも大事です。ゆるキャリの商品は自分自身なのです」

(聞き手は瀬川奈都子)

葉石かおり氏(はいし・かおり) エッセイスト、酒ジャーナリスト。日大卒。ラジオリポーター、週刊誌の記者を経て現職。おひとりさま事情やキャリア、恋愛に関するコメントを各メディアに寄せる。著書に「あなたが辞めると言ったとき、上司はとめてくれますか?『ゆるキャリ』のススメ」(講談社)。東京都出身。47歳。

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