新たな内助の功 認め引き立て輝かすWの未来 男も動く(4)

「社長が女性なら引き受ける」。大手百貨店、高島屋の子会社で経営不振に陥った岡山高島屋の再建への協力を請われた小嶋光信(68)はこう答えた。

小嶋は岡山で運輸業などを手掛ける両備ホールディングスの経営者。地元で顔が広い。2010年に高島屋から肥塚見春(57)が社長に送り込まれ、小嶋は会長という立場で支える。

店内を視察する岡山高島屋の肥塚社長(左)と両備ホールディングスの小嶋会長(岡山市北区)

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就任後、小嶋はまず肥塚に社員の賞与大幅カットの決断を迫った。数億円規模の経常赤字が続き、原資が乏しかったからだ。コスト削減で後に黒字化を達成、再建に弾みがついた。

「肥塚社長は百貨店運営のプロ。ただ岡山でのビジネスには助言が必要」と意見する。「地元が求めるのは目新しい物でなく本当にいい物」。食品売り場に老舗を入れると集客力がアップ。肥塚は「都心店では最先端のブランド導入を競う。気付かされることが多い」。

小嶋が女性社長という条件を出したのは「中心顧客は女性だから」。店の顔である肥塚に「女性客が『ああなりたい』と思うおしゃれをしてほしい」とも提案。パンツスーツが多かったが華やかな服装が増え、生き生きと仕事をする姿に「きれいになった」と部下から声がかかる。

まだ男性が多数の企業社会の中で、女性の実力を認めサポートする男性の存在が女性をより活躍させ輝かせる。それは先輩からの助け舟もあれば、部下からの直言や同僚の理解もある。「内助の功」といえば妻が家庭で夫の働きを助けることに使うが、男性が支える新たな形も様々に広がる。

産業用ロボットメーカーのユーシン精機。社長の小谷真由美(66)を支えるのは4人の男性役員陣だ。02年に急逝した夫の後を継いだ小谷は会社の発展に必要な人材を社外から集めた。

開発責任者で常務の大立泰治(55)は04年、面接で「社長の役に立てる」と確信。「社長は論理的な説明を省いて結論だけを口にするので、直感で決めたように思われてしまう」。小谷の言葉を補う役割を担う。

リーマン・ショック直後で売上高が大幅に落ち込む中、小谷は「競合他社との差を広げる好機」と発破をかけた。発言の裏付けや今後の道筋を伝えて現場を動かしたのが大立。開発部門は連日残業し、新型ロボットを開発した。今や主力商品となり、増収増益に大きく貢献する見通しだ。

辞めさせぬ努力

中古車買い取り・販売最大手ガリバーインターナショナルは5月、女性社員数人と男性社員で働き方を考える場を設けた。女性を増やしたのにノルマで競わせる従来手法に「辞めたい」との声が漏れたからだ。

「店の雰囲気を良くしたい」といった女性の本音を男性が吸い上げた結果、新人女性43人はやる気も出て全員働き続ける。研修担当の庄下潤(39)は「顧客満足を重視する女性社員の存在意義を認めていなかった」と振り返る。力を入れ始めた対面販売でノルマだけに頼らない「顧客重視の営業」での拡大を目指す。

女性が生き生きと働ければ男性にもプラスになる。それは男性が動くことで実現できる。(敬称略)