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朝・夕刊の「W」

「イクメン」育つ 妻が企業が背中押す Wの未来 男も動く(5)

2013/8/11

「週1回早く帰って子どもを風呂に入れます」。大日本印刷が3月に開いた仕事と育児の両立セミナー。熊沢京二(35)は皆の前で宣言した。

■夫婦でセミナー

事業所内託児所に子どもを預けるイクメン(東京都新宿区のNTT東日本)

熊沢は同社の社員ではなく、同社に勤める育児休業中の妻(31)に誘われ参加した。セミナーは原則、夫婦同伴。以前は産前産後休業と育休から復帰する自社社員が対象だったが、女性が思うように働くにはパートナーの協力が不可欠。「夫を教育してほしい」という声が根強く、社外の夫も招いて、子育てに積極的な「イクメン」に養成する研修を2009年に始めた。

熊沢は残業が多く帰宅は深夜で、同僚らもイクメンから程遠い。育児に関われないと思っていたが、セミナーで「ほかの父親たちがやれることをやっているのに触発された」。4月に妻が職場復帰すると、自ら毎朝、息子を保育所に送り、宣言通り週1回は午後6時に帰宅し風呂に入れる。

では世の男性は妻の期待に応えているのか。日本経済新聞社がマクロミルを通じ20~50代の働く既婚女性1000人に行った調査では家事・育児への夫の貢献度は3割。8割超がもっと貢献してほしいと答えた。

男性にも言い分はある。こども未来財団の調査で父親の子育て情報源のトップは「妻」。頼りにし役立ちたい妻からの冷たい一言はつらい。「夫は何かしようにもやり方が分からず、不慣れでうまくいかない。満足できない妻になじられ、気持ちがなえていく」。NPO法人新座子育てネットワーク代表の坂本純子(51)は、長年開く父親講座で男性の本音を聞くうち女性との意識の違いに気付いた。

そこで7月から育児休業中の女性らに夫の協力を得るコツを伝授するプログラムを始めた。いつしか夫がイクメンになるよう誘導する高等戦術だ。「自分がやる方が早いと抱え込んではダメ。夫が掃除をしてホコリが残っていても我慢。できていることをおだてれば、もっとやるようになる」。公民館で講師が説く。

いまだ男性が育休を取りにくい環境では、勤務先の企業の姿勢もまた重要だ。

日本生命保険の佐山恵一郎(29)は同社が子育て中の社員を対象に11年から毎月開く「パパママランチ交流会」での女性社員のつぶやきが胸に刺さった。「ときには保育所の迎えを気にせず思いきり働きたい」

■仕事にもプラス

それまで10年に生まれた娘を保育所に毎日送るのを担当し、金融機関に勤める総合職の妻とフェアな夫婦関係だと自負していた。残業できないもどかしさを妻も感じているはずだと気づき、以来、効率良く働いて、妻が多忙なときは迎えにも行くようにした。

同社は4月、男性の育休取得率100%の目標も掲げた。狙いは子育て責任を果たす支援だけではなく、個人的な成長を促すことにある。「子育て経験はコミュニケーション能力を高め、効率的に働くコツも身につく。経営にもプラスになる」(人事部輝き推進室)

イクメンの姿が日常になる日、男女ともに明るい未来が開ける。(敬称略)=この項おわり

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