いきなりハノイ 憧れの地で ひたむきにWの未来

2013/10/6

チャンスはいつでも、どこにでもある。型にはまらない働き方で自らの可能性を発揮する頼もしい女性(Woman)たちがいる。

日本の内定辞退

会社帰りに路上で買い物をする望月さん(ハノイ市)

「どうしてもベトナムで働きたい」。望月綾(24)は日本の人材関連会社の内定を「楽しく働けそうもない」と断り渡航。4月にハノイ市の日本人向け情報誌の制作会社に就職した。

海外に憧れ、大学でベトナム語を専攻。1年間休学してハノイでボランティアを経験したのが転機となった。「喜怒哀楽の感情を素直に表す」市井の人々の姿は新興国ベトナムの活力に満ちた風景と重なり、強く心に焼きついた。「ここなら語学力を生かし、充実した毎日が送れるかも」

新卒での海外就職に反対した人もいたが、情報誌の広告主をベトナム人の同僚と日夜駆けずり回る日々は期待通りだった。「日本では得難いチャンスがある」ベトナムは望月に様々な機会と可能性をもたらす。

海外で暮らす日本人女性は2011年10月現在で61万人と男性(57万人)を上回る。海外赴任に同行する家族や永住者が多いが、望月のように自ら渡航した世帯主の女性も少しずつ増えてきている。

新卒で勤めたフィットネスクラブを4カ月で辞めてフリーター。そんな経歴を持つ佐伯裕子(41)も海外でチャンスをつかんだ。

1995年に旅行で気に入った中国へ。北京語を学び、日系の工場で通訳となったが、日常会話しか話せず雑用ばかり。「何してるんだろう」。一念発起し辞典のない工業用語を覚えた。「チャーシーシェンマ(これは何)?」。中国人と日本人それぞれに尋ね回り、用語の日中対比表がノート2冊になったころ「一人前と認められ始めた」。

今や税関対応などを指南する経営コンサルタント。横領の手口や品質不良の原因を熟知した中国通は、進出したての日系中小企業の工場に心強い参謀だ。

ケニアで獣医

ケニアのマサイマラ国立保護区。獣医の滝田明日香(38)は首都ナイロビから車で6時間ほどのサバンナにあるテントで暮らす。

商社マンの父の赴任に伴い6歳ごろから海外を転々とした。大学在学中のケニアへの留学で、広大な大地と悠々と歩く野生動物に魅せられ、「私の生きる場所はここ」と決めた。ナイロビ大学獣医学部を30歳で卒業以来、ゾウやサイなど野生動物の保護に携わる。

昨年、同保護区で100頭超のゾウが象牙目的の密猟で命を落とした。「密猟を止められなくて悔しい」。好きな野生動物たちを守るために今日も奔走する。

9月、広島市で女子大学生向けに「世界就職セミナー」が開かれた。日本のほか中国や米国、シンガポールなど9カ国で働く女性たちでつくる「和みの会」(東京・港)が主催した。一連のイベントに集まった女子学生らは300人。海外で活躍する女性の卵たちだ。

生きたい場所が、働く力をくれる。唐突にも見える思い切りの良さで海外に飛び出し、日本との架け橋となり、そこで受け入れられていく。そんなたくましい女性たちが増えている。(敬称略)