スーパーキャリア 可能性究め 後進に光Wの未来

医師の進藤奈邦子(50)は、鳥インフルエンザなど猛威をふるう新型ウイルスから世界を守る司令塔だ。スイス・ジュネーブにある世界保健機関(WHO)のメディカルオフィサー。外交特権を持つ専門職の頂点といえるポストを600倍超の倍率から勝ち取った。

特許訴訟に取り組む矢嶋弁護士

感染症くい止め

高校時代、弟を脳腫瘍で亡くし、医師を志した。当初は外科医だったが「国際的に活躍でき、子供たちとの時間も持てる場所」を求めて国立感染症研究所に転身。2002年にWHOに派遣され、重症急性呼吸器症候群(SARS)や鳥インフルの大流行に遭い、情報を集め各国からの問い合わせに分単位で対応する経験を積んだ。

「自分が大きなムーブメントの真ん中にいる」。05年にWHOが感染症対策の強化で今のポストを新設すると知り「まさに私の仕事」と思った。「感染症のパンデミック(世界的大流行)を未然にくい止める」のが進藤の使命。日本食を作り、家族の時間を楽しむ生活が仕事の原動力だ。

資格や知識といった武器を手にすれば、性別に関係なく、どこまでも闘える。実力を発揮しながらスーパーキャリアへの道を極めようとする女性が様々な分野で増えている。弁護士もまた女性比率が右肩上がりで増えるプロの一つだ。

国内最大手、西村あさひ法律事務所の訴訟弁護士、矢嶋雅子(44)は今、「負けたら弁護士を辞める覚悟」で取り組む特許訴訟がある。矢嶋が疑問に思う判決を下した裁判長は、知財高裁所長に栄転したこの分野の権威。だが「どんな相手でも法律で戦える」。

法律知識で戦う

両親が裁判で負けて家を失ったことなどを見聞きし「自分が信じることを貫くには戦うすべを身につけないと」と感じて育った。法律知識を武器に選び、大学3年の時に日本の司法試験に当時最年少で合格。米国留学中、緊急手術で第1子を出産した直後に米国の弁護士試験にも合格した。

もちろん常に裁判で勝てるわけではないことも承知している。それでも「納得いかないまま負けるわけにはいかない」と挑み続ける。

「女性の活用が日本成長のカギ」。9月下旬、厚生労働省事務次官の村木厚子(57)は就任後初の外遊先の米国で講演した。中央省庁で史上2人目の女性事務次官。女性が働く意義も難しさも自ら体験してきた。

入省した35年前、配属先で「新人の女性キャリアにお茶くみをさせるか」が議論になった。大卒女性の就職先が少ない中、働き続けられる場と思い高知から上京した村木を迎えた現実。お茶くみは1年間続いた。

理不尽な扱いも受けたが「人見知り」な村木にとって仕事は人とつながる場だった。障害者支援や女性政策の立案のために現場に通って本音を聞き、様々な立場から平等に参画できる社会の実現に向け実績を積んできた。組織のトップに上り詰めても「国民に説明を尽くす」自分流で臨む。

目指せば誰もが到達できるわけではない。だが高く険しい山の頂を極めた女性ほど輝きを増し、その光は、可能性を模索する後進の道筋を照らし出す。(敬称略)