バラエティー低迷期に好調な「ホンマでっか!? TV」、人気の理由日経エンタテインメント!

バラエティー番組受難の時代が続いている。2010年から『エンタの神様』(日テレ系)に代表されるショートネタ番組が次々と終了。ゲーム系バラエティーも、視聴率20%を超えることもあった『関口宏の東京フレンドパーク2』(TBS系)が姿を消すなど、苦戦を強いられている。

そうした厳しい環境の中で好調をキープしている数少ない番組が『ホンマでっか!? TV』(フジ系)だ。2009年に深夜枠でスタートし、わずか1年でゴールデン帯に昇格。2011年からは平均視聴率15%を記録している。水曜21時台は『相棒』擁する刑事ドラマ枠(テレ朝系)や老舗バラエティー『ザ! 世界仰天ニュース』(日テレ系)が林立する大激戦区だけに、その健闘が光る。

番組企画者は若手ディレクターの武田誠司氏。既に明石家さんまをMC(司会者)に据えたヒット番組には、子どもたちと格闘する『あっぱれさんま大先生』(フジ系)や若い女性から本音トークを引き出す『恋のから騒ぎ』(日テレ系)などがあった。これら既存の番組にはない新機軸を考えたとき、スタジオに評論家を呼ぶ構図が浮かんだという。

「この番組では、さんまさんの仕切りのうまさに加えてリアクターとしての才能を全面に出してもらっている」とディレクターの木村剛氏は言う。番組の見どころは、異なるジャンルの専門家が次々と学説をかぶせていくトーク。例えば環境評論家・武田邦彦氏が「30代女性の約半数が一夜不倫経験あり」というデータを披露すれば、脳科学者の澤口俊之氏が「夫の汗のにおいがイヤだと不倫する」という説を掲げ、生物学者・池田清彦氏が「だから新婚直後の女性に不倫が多い」と続ける…といった具合だ。評論家や学者たちは芸能界の序列やテレビ的な段取りとは完全に無縁。自由奔放に論を展開するので、時にMC歴30年のベテラン・さんまが翻弄されることも。そこにこの番組の目新しさがある。

30の学説を一気に見せる

評論家や学者の新陳代謝をよくしたり、新コーナーを設けたりする一方で、かたくなにこだわり続けてきたのが「編集のテンポ」。毎回30もの学説を矢継ぎ早に繰り出し、劇的なテロップと効果音を入れてメリハリをつけている。「実はレギュラー化した初期のころ、テンポを落としてネタの消費をセーブしたいという姑息(こそく)な考えも出たんですが(笑)、スピード感のあるスタジオ展開が面白いというさんまさんの意見で、今のスタイルを貫きました」と木村氏。視聴者に既視感を抱かせない新しい試みと、決してブレない方針とがいいバランスで同居して、視聴率アップにつながっているようだ。

2005年9月、『お台場明石城』から生まれた『ホンマでっか!?ニュース』は、以降特番の目玉に。2009年10月、『ホンマでっか!?TV』に衣替えし、深夜帯でレギュラー番組になった。「男と女」「お金」など身近なテーマを扱い人気が定着した(視聴率は、ビデオリサーチ関東調べのデータから日経エンタテインメント!編集部で作成)

(ライター 金井真紀)

[日経エンタテインメント!2011年6月号の記事を基に再構成]

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