草場 そういうのがたまりにたまって、連ドラ離れが深刻化したのかもね。ところが、10月クールになると一転、平均15%超えのドラマが並ぶ大豊作。
小田 連ドラの企画が固まるのは大体半年前だから、まさに震災直後の空気を読んで作られたドラマが10月クールに出てきた…という構図だと思う。
指南役 年間でもベストテンの中に、10月クールの作品が5本もランクインしていますね。
津田 同率首位の『家政婦のミタ』が、その象徴でしょう。ミステリアスな家政婦を通して、要はバラバラになった家族が再生する話。カギは「家族」。
草場 松嶋菜々子の怪演ばかりが話題になるけど、実は長谷川博己演ずるダメダメな父親のリアリティー感も半端ないんだよね。見た目以上に奥深い作品。
津田 それは視聴率が証明している。初回19.5%から右肩上がりで、6話では23.4%。
小田 6位に入った『妖怪人間ベム』が、元のアニメ版と異なり、より「家族」を意識した作りになったのも、同じ構図だろうね。
草場 一方、『南極大陸』が思ったほど伸びなかったのは、テーマが骨太すぎて、視聴者の意識がまだそういうのを受け入れるまで、回復してないからだと思う。
津田 今はもっと身近な人間ドラマを見たいんだよね。ただ、これは数年前から「TBS60周年企画」として進めてきただけに、このタイミングは仕方ない(笑)。
指南役 4位は大河ドラマの『江』です。2009年まで年間トップが定位置だった大河も、10年は2位に落ち、11年はさらに…。
小田 まぁ、これは単純に作品のクオリティーを反映しての結果でしょう。あまりにリアリティーからかけ離れた描写が過ぎました。いくらなんでも上野樹里が9歳の江を演じるのは無理があったし、小娘が信長や家康と議論するのは、もはやコントの域(笑)。
草場 『篤姫』で築いた脚本家・田渕久美子バブルも崩壊……。