小田 一方、『JIN』は「人の命を救う」というベースがあったから、震災後の空気感と合致して、視聴者にすんなり受け入れられたんだと思う。

津田 同じく、震災後の空気感と合致したのが、『JIN』の裏の『マルモのおきて』。前評判ではほとんど期待されてなかったけど、初回11.6%から、みるみる評判を上げ、最終回が23.9%。

草場 あのドラマ、マルモと血のつながらない子どもたちの“擬似家族”の「家族愛」を描いていたけど、それって、被災地における震災孤児を支える地域コミュニティーと同じ構図。

津田 断っておくけど、『マルモ』が企画されたのは震災前。変な話、震災がなければ、ここまで話題にならなかったかと。

小田 それは、首都圏と関西の視聴率の温度差にも表れたね。震災直後、『マルモ』が首都圏で数字を伸ばしたのに対し、関西ではそれほど伸びなかった。反対に、関東では8.7%と惨敗したフジの『グッドライフ』が、関西では、クール3位と大健闘。

草場 震災の被害を直接受けた東日本では、死と背中合わせの親子といった『グッドライフ』みたいな重いテーマのドラマが一時的に避けられたんだと思う。東西でここまで連ドラの好みに差が開いたのは前代未聞。

完全地デジ化も数字に影響?

指南役 しかし、『JIN』や『マルモ』は例外中の例外でしたね。大半のドラマは震災以降、視聴率で大苦戦。7月クールも、8位の『新・警視庁捜査一課9係』を除けば、軒並み10%そこそこにとどまった。

小田 7月24日の完全地デジ化もあって、連ドラはもとより、テレビというメディアから人々が離れつつあった感は否めませんね。

津田 8月にはフジテレビに対して「韓流番組への偏重が過ぎる」と、デモも起きたからね。まぁ、嫌韓というより、テレビというメディアに人々の不満が爆発した一端だったと思う。