がん、糖尿病に効果 「コーヒーで健康」のウソ・ホント

かつては「発がんリスクを高める」ともいわれた珈琲(コーヒー)。現在、その評価が変わってきている。

珈琲の機能性について研究が始まったのは1960年代。黒く焼け焦げた食品の発がん性が問題視され始め、豆を焙煎している珈琲も発がんリスクについての研究報告が公表され、話題になった。

だが90年代以降、状況が変わった。珈琲愛飲家にはたばこをたしなむ人も多かったため、たばこの影響を排除した精度の高い調査が行われるようになった。すると、珈琲の健康効果を評価する研究が相次いで報告されるようになったのだ。

クロロゲン酸とカフェインの働きに注目集まる

国内外で大規模な疫学調査が行われるようになったことも大きい。日本人の食習慣や生活習慣を長期間追跡し、病気の発生・予防要因を調査分析している文部科学省科学研究費大規模コホート研究JACCスタディ。代表の玉腰暁子さん(北海道大学大学院医学研究科教授)によると、「11万人を追跡した肝臓がん調査では、珈琲を毎日1杯以上飲む人はほとんど飲まない人に比べ、肝臓がん死亡の危険度が約半分に低下した」という。

また、国立がん研究センターが5万4000人に対して行った調査では、珈琲を週2日以下しか飲まないグループに比べ、毎日珈琲を1~2杯飲むグループの子宮体がんの発症リスクは約4割低かった。

こうした健康効果に関与していると考えられるのが、珈琲に含まれるクロロゲン酸とカフェインだ。カフェインは、細胞を保護する役割が近年注目されている。クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、正常な細胞が、がん化するのを抑止する働きがあるとされている。しかも、珈琲に含まれるクロロゲン酸類は69種類と非常に豊富だ。

日々の食べ物や運動不足といった生活習慣に起因する2型糖尿病についても、オランダの研究グループをはじめ、世界各国で珈琲による予防効果が報告されている。詳しい仕組みはまだ解明されていないが、「クロロゲン酸による血糖値上昇の抑止作用や、カフェインの基礎代謝促進作用などが役立っているのではないかと考えられる」(UCC上島珈琲R&Dセンター)。

注目記事
次のページ
アルツハイマー病や通風への効果も検証が進行中