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定年世代 奮闘記

終末の段取りをノートに… なかなか筆が進まない 定年男子の終活見聞録

2012/11/10

 万一の場合に備え、家族や周囲の人に伝えたいことをあらかじめ記入しておくエンディングノートが、関心を呼んでいる。本来なら普段の生活の中で、自然に家族に伝わっていくものなのだろうが、子供たちは離れて暮らしているし、「縁起でもない」と取り合ってもくれない。最近は、介護や終末医療、葬式、墓など、エンディングにも選択の幅が広がっているから、本人の意思を残しておかないと残った者が大いに迷うだろう。書き残しておくのが一番いいかもしれない。

■エンディングノート、記入欄は考えたくないことばかり

ノートに向かうが、なかなか筆が進まない

 書店をのぞくと、いろんな種類のエンディングノートが並んでいた。出版社、文具メーカーのほか、葬儀社、金融機関や民間団体なども独自のノートを作っている。かかりつけの医者、常用薬、緊急連絡先など緊急時に人に見てもらいたい情報と、財産、相続方法など生前見られては困る情報を、別々に保管する2分冊方式や、CD-ROMが付いたものもある。私も一冊を手に入れた。

 生い立ち、経歴などの自分史の記入欄から始まり、介護、終末医療や葬式、墓の希望などを書くページが続く。財産一覧や配分方法、残った家族、友人への思いを書く欄もある。できることなら考えたくないことばかりだ。簡単には筆が動かない。

 「エンディングノートのすすめ」(講談社現代新書)などの著書がある本田桂子さんに話を聞いた。遺言相続コンサルタント、行政書士として多くの相続問題にかかわってきた。私の手元にあるエンディングノートの作者でもある。

■定年退職の時期に書く意味は大きい

「今を安心して暮らすために」と話す本田桂子さん

 「ノートは終活の入り口。まずは気軽に開いてほしい」と本田さんは忠告してくれた。「漠然とした老後への不安が、書いているうちに具体的に見えてくるから備えもできる。死後のためでなく、今を楽しく安心して生きることにつながる」とも話す。新しい生活が始まる定年退職のこの時期に、ノートを書いてみるのは大いに意味がある、と思い直した。

 さて、ノートに向かう。医療、介護の項でまず考え込んでしまった。「病名、余命の告知は」など深刻な設問が並ぶ。記入しやすいように「告知しないでほしい」「病名だけ告知」「すべてを告知」などの選択肢が用意されている。とりあえず「病名だけ告知」にマルをつけ、「余命の告知はケースバイケースで」と書き加えたが、このあいまいさでは周りが困ってしまうかもしれない。「延命措置は」といった答えにくい設問もある。

 葬式の項になると、招く人のリストのほか、葬儀の規模、戒名の有無、費用などの設問が続く。呼びたくない人を書く欄もあるが、はっきり書くとなるとこれも悩むところだ。

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