ぐっすり眠るコツ、「長すぎる睡眠」は逆効果

2014/4/13

日経ヘルス&メディカル

朝、目覚めたときにすっきりしない、十分寝たはずなのに、寝た気がしない……。そんな熟睡感のなさに悩んでいないだろうか。背景には、「寝すぎ」やストレス、うつ、睡眠時無呼吸症候群などの病気が潜んでいることもある。ぐっすり眠るコツを紹介しよう。

眠りが浅いと、朝目覚めたときに休息感や充足感が得られない。原因は様々だが、大人の場合、一番多いのは寝すぎだという。

日本大学医学部付属板橋病院精神神経科の内山真教授は、「加齢とともに、ぐっすり眠れる時間は短くなる。若いころと同様に8時間以上も寝ていると、睡眠自体が浅くなり、熟睡感が得られない」と指摘する。

60代では6時間

高齢になるほど眠れる時間が減るのは、睡眠と関わりの深いホルモンの量が減るのが一因とされる。心身ともに健康な人の平均睡眠時間は、10代までが約8時間、成人になると7時間、60代では6時間になるという。「だんだん短くなるのが健康な証拠」と内山教授。もちろん、個人差はあるので今の自分に合った睡眠時間を確保することが重要だ。「翌日、睡眠不足で困らない程度が目安。毎日同じ睡眠時間でなくても、1週間くらいで帳尻を合わせればいい」(内山教授)

ストレスも睡眠の大敵だ。多くのストレスがかかると体を活動モードにする交感神経が緊張して、眠りが浅くなる。休息モードにして眠りに誘う副交感神経の働きを活発にするには、ぬるめの湯でゆったり入浴したり、アロマやマッサージなどでリラックスしたりするのがお勧めだ。

また、「8時間睡眠がベスト」などという“睡眠幻想”を捨てることも重要。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の栗山健一室長は、「睡眠への期待が大きいほど、熟睡できないことへの不安感が大きくなり、眠ること自体がストレスになってしまう。『寝なければ』ではなく、『眠くなったら寝よう』という程度の気持ちでいるほうが、結果的にはいい眠りが得られる」と話す。

内山教授も「体には睡眠や活動など生体リズムを調節する体内時計が備わっており、体温が高い時間帯にはなかなか眠れない。体のリズムを無視して眠る時間を決めるのではなく、眠くなったら床に就くのが基本」という。

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