高まるクマ熱 教授と直談判で「研究生」に熟年クマガール雑記

北海道・知床で豆粒大のヒグマを双眼鏡で眺めてから「クマについてきちんと学ぼう」と決めるまでに、さして時間はかからなかった。「シートン動物誌」から吉村昭のドキュメンタリー長編「羆嵐(くまあらし)」まで、クマと名のつく本を片っ端から読みあさり、冬眠の不思議なしくみや、たった1頭で子育てする母グマの聡明さに魅了された。

生物の知識、センター試験に歯が立たず

「国際クマ会議」では最新のクマ情報が得られた(長野県軽井沢町)=共同

クマ情報を集める上で願ったりのチャンスとなったのが、偶然のぞいた長野県軽井沢での「国際クマ会議」だ。内外のクマ研究者たちが一堂に会するイベントで、ホッキョクグマから東南アジアのマレーグマまで、クマを取り巻くさまざまな問題や最新の研究成果が、素人にも手っ取り早く理解できた。レセプションでは、何人かの研究者と言葉を交わす機会もあり、クマ熱はいよいよ高まっていった。

だが「学ぶ」といっても、どこで、どうやって? これまでメダカも飼ったことがなければ、ブナとミズナラの区別もつかない。生き物に関する基礎知識は、どう考えても小学生並みだ。

試みに高校の生物の教科書を本屋で立ち読みして、がく然とした。分子生物学のような難しげな話があとからあとから出てくる。私が覚えている昔の授業内容といえば、メンデルの法則ぐらいだ。センター試験の問題を新聞で見た時には全く歯が立たず、「おととい来い」と言われた気がした。

原生林の広がる知床五湖周辺はクマの生息地(北海道斜里町)

あれこれ悩むうちにアンテナに引っかかったのが、大学には研究生という身分があるという情報だ。大学を卒業しているか、それと同レベルの知識があれば、試験を受けなくても指導教員の面接などによって、2年程度の研究生活が認められるという。

単位も学位も取れないから、言ってみれば「非正規学生」のような存在。それでも、大学院を目指す学生などが受験準備に励んだりするには、便利なシステムらしい。好きなテーマを自由に学べるなら形式的な評価など必要ないというマイペース派のシニアにとっても悪くない制度だ。