さらに、「コミックマーケット」を中心とする同人誌市場を肥大化させるなど、広範囲な影響をもたらした。その後も『聖闘士星矢』『幽☆遊☆白書』『るろうに剣心』『封神演義』『テニスの王子様』など、女性の心をとらえる作品を常に輩出し続けている(年表1参照)。

年表1

これら“女子好き”とされる作品には、3つの共通点がある。それは「イケメン」「濃厚な人間関係」「必殺ワザ的演出」だ。

まず、イケメンの要素はとても分かりやすい。男性読者が美女・美少女を好むのと同様、女性読者も美男・美男子を好むのは当然だ。もちろん、少女、女性向けのマンガでもイケメンは登場するが、スポーツマンガのように何十人もそろうことはまずない。しかも、女性向けマンガでは、「イケメン=ヒロインの恋愛対象」と相場が決まっている。恋を全面的に描かない、「(きっと彼女がいないだろう)フリーなイケメン」が、多数登場するのは、少年マンガならではだといえる。

2つめの女子が好む「ジャンプ」のマンガの人間関係については、友情や確執、葛藤などといった要素がある。ここで重要なのは、ジャンプでは「異性との恋愛」は、ほぼ触れられないことだ。登場人物の特徴として、「スポーツやバトルでの勝利」など、恋愛以外の目的に一直線なキャラクターが多い。性的興味についてはサバサバしていて無頓着。この点において、ラブコメ色の強い「週刊少年サンデー」や、より肉食系の「週刊少年マガジン」掲載のマンガ作品とは一線を画している。言い換えれば、恋愛が描かれないことにより、男同士の様々な関係性について、女性読者がイメージを膨らましやすい土壌が作られているわけだ。

3つめの「必殺ワザ」は必須というわけではないが、週刊少年ジャンプに掲載されているかなりの作品に共通する要素である。一般的に女性は、スポーツマンガにおいても各競技の細かなテクニック解説については興味を示さない。それより「とにかくスゴい!」ことが伝わる派手な必殺ワザのほうが効果的だ。歌舞伎における「見得(みえ)」のようなものだと考えればいい。

ところで、最近の「ジャンプ」本誌では、『ニセコイ』『恋染紅葉』『パジャマな彼女。』と、1人の男子と複数の女子の関係性を描く、女子ウケの悪い、“ハーレムラブコメ系”を集中的に投入している。この傾向は、女子売れに偏り過ぎた誌面に、もう一度少年読者を呼び戻す動きのように見える。女性読者の過剰な浸食は『“少年”ジャンプ』の看板をおびやかしかねないのだ。

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