元塾講師が見た学校現場~ママ世代公募校長奮闘記(11) 山口照美

2013/10/4

塾でも学校でも「昔の自分」を見かけると、よし、何とかしてやろうと思う。人前で手を挙げて「わかりません」が言えず、悩む子どもはたくさんいる。そっと近寄り、机の横にしゃがみ、問題をスモールステップに砕いて1つずつクリアさせる。「できるやん!」と褒める。

少人数・習熟度別の指導の先生がベテランなので、その点は安心して任せている。私も、空いている時には積極的に教室に入っている。

「家庭学習」ではなく「自立学習」へ

宿題の指導は、家庭でフォローしてほしいという本音もある。家でやって来られず、居残りで宿題をしている子がたくさんいる。運動会前で担任が忙しく、校長室や職員室前が即席の自習室となることがある。職員室の番をしながら、宿題をチェックする。

このサポートを「当たり前」と思われると、辛い。人手が足りないからしんどい、という面もある。それ以上に、手取り足取りでフォローを続けていると、中学に行って子ども自身が困る。卒業時には「自分で宿題ができる」「授業でわからないところを調べる、質問することができる」「携帯やゲームの誘惑を振り切って勉強できる」中学生にして送り出したい。

現場に来て痛感するのは「学力以前の課題」を抱えている児童が多いことだ。授業を受けて理解するには、十分な睡眠に裏付けられた体力がいる。それなのに、夜遅くまでゲームや携帯いじりで寝不足、朝ごはん抜きで学校に来られると、どれだけ教師がいい授業をしても届かない。

以前このコラムで紹介した養護教諭の岡部先生が中心となり、あの手この手で「早寝・早起き・朝ごはん」を子ども自身に意識させるよう、取り組んでいる。

そうは言うものの、我が家でも22時過ぎになる日が多く、まったく偉そうに言えない。テレビでジブリのアニメが21時から始まり、自分の時間ほしさについ夜更かしを許してしまった時など、自己嫌悪でいっぱいになる。甘やかす意味の「子ども優先」ではなく、彼らの心身を育てるための「子ども優先」を貫くには、親自身が誘惑に勝つ力が必要だ。子どもによって、親も育てられるのだと感じている。

生活習慣の課題をクリアすると、次に「学習規律」の課題がある。時間を守る、忘れ物をしない、人の発言を集中して聴く。学校に来るのがやっとという児童には、これまた難問だ。公立小の先生達は、本当に粘り強い。「40人学級で学力向上」を求めるのは、かなりハードな注文と言える。

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