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東京ふしぎ探検隊

西武鉄道、幻の奥多摩開発計画 「第二の箱根に」

2013/5/31

東京都民の水がめ、奥多摩湖はダム建設で生まれた人造湖だ

 西武秩父線の存続が取り沙汰された西武鉄道。実は秩父だけではなく、東京西部の奥多摩にも乗り入れ、一大観光地として開発する計画があった。「第二の箱根に」とまで意気込んだ構想はなぜ、実現しなかったのか。どんな内容だったのか。計画の全貌を追った。

■青梅街道沿いに廃線跡 橋やレールも

 東京都最西端に位置する奥多摩湖。青梅街道を西に進めば山梨県となり、北は秩父連峰を望む。山に囲まれた静かな湖は、小河内(おごうち)ダム建設に伴い生まれた人造湖だ。

 東京都民の水がめである小河内ダムは、1957年(昭和32年)に竣工した。地元の反対で用地買収は難航し、工事が始まると87人もの犠牲を出し、最後は神奈川県と水利権を巡り激しく対立するなど曲折を経ての完成だった。

奥多摩湖周辺には、かつての工事用鉄道の跡が今も残っている。かつての鉄道橋は、うっそうと生い茂る木々に覆われていた

 湖畔にある解説板によると、ダム建設当時、国鉄青梅線氷川駅(現JR奥多摩駅)から工事現場まで、物資を運ぶための専用の鉄道があったという。その名も水根貨物線。湖畔に置かれた水根駅が終点だった。

 奥多摩湖周辺を歩いてみると、当時の線路が今も残っていた。橋やトンネルもある。どこも雑草に覆われ、いかにも「廃線」といった風情が漂う。

 実はダム建設後、工事用だったこの路線を観光鉄道に衣替えする計画が持ち上がっていた。

■西武鉄道、ダム工事用の線路を1億円超で落札

 「鉄道未成線を歩く」(JTBパブリッシング)などの著書がある鉄道研究家の森口誠之さんによると、名乗りを上げたのは西武鉄道。東京都が実施した公開入札で、1億3000万円で落札したという。なぜ西武鉄道?

 「西武鉄道は拝島線を国鉄青梅線に乗り入れさせる計画を検討していました。終点の氷川駅から延びる水根貨物線と連絡させ、奥多摩湖周辺を観光地として開発する構想だったのです」

 西武拝島線といえば、東京都小平市の小平駅から東京都昭島市の拝島駅まで走る路線で、西武新宿駅ともつながっている。拝島駅はJR青梅線と連絡していて、しかもレール幅は西武とJR、どちらも1067ミリ。確かに物理的には奥多摩まで乗り入れることは可能だ。

 森口さんによると、西武鉄道が運輸省(当時)や東京都に提出した資料が残っているという。そこで国立公文書館で調べてみたところ、興味深い文書を見つけた。

青梅街道沿いの鉄道橋の上にはトンネルがあった。線路はトンネルを抜けて続いている
レトロな風情のJR青梅線「奥多摩駅」
小河内ダムの専用線を走る資材運搬列車(東京都水道局提供)

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