「菌の種類によって効果は異なるようだが、基本的には乳酸菌をとることで免疫を活性化する刺激が入り、防御機能が働くのでは」と山本室長は語る。最近の研究で、NK細胞だけでなく免疫細胞全般の働きを高める乳酸菌があることもわかってきた。

キリンR&D本部研究所で乳酸菌の研究を行ってきた杉村哲研究員は「病原体の侵入を防ぐ免疫細胞は、プラズマサイトイド樹状細胞(以下、pDC)という別の免疫細胞から指令を受けている。そこで、このpDCの働きを高める乳酸菌を探し、プラズマ乳酸菌と名づけた」と説明する。

●乳酸菌が体の防御力を高めてウイルス感染をふせぐ

免疫には、体内に侵入した病原体やウイルスに感染した細胞などの“異物”を早めに見つけ出し、排除する「自然免疫」と、一度感染した病原体を記憶して、次の侵入時に攻撃をしかける「獲得免疫」がある。乳酸菌の摂取で働きが高まる免疫細胞としてよく知られているのはNK細胞だが、pDC細胞の働きが高まれば、免疫細胞全般の働きと、普通の体細胞ひとつひとつの防御力が高まると考えられる(図版:三弓元青)

同社と国立感染症研究所の共同研究によると、この乳酸菌を含むヨーグルト飲料を飲んで、実際に咳や熱などのカゼ・インフルエンザ様疾患の発症が低減したという。さらに、血液を調べたところ、体内に入り込んだウイルスの増殖を抑制する力も高まっていた。

●プラズマ乳酸菌摂取がカゼ・インフルエンザ様疾患の症状を抑制

30~59歳の健康な男女213人を、プラズマ乳酸菌を含むヨーグルト飲料の群と、プラズマ乳酸菌なしの偽飲料の群に分け、冬期の70日間、毎日それぞれの飲料を飲んでもらった。その結果、プラズマ乳酸菌群ではカゼ罹患(りかん)者数が、偽飲料群に比べ少なく、「咳」と「熱っぽさ」の発症・悪化が有意に抑制されていた。(データ:第61回日本ウイルス学会学術集会発表資料)

山本室長は「プラズマ乳酸菌は、体内にウイルスが侵入したときに、免疫系が即座に応答できるようにするだけでなく、ウイルスが増殖しないよう、細胞ひとつひとつの防御力を高めているともいえるのでは」と話す。

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