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新幹線、目前で消えた「東北―東海道」直通計画

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JR東京駅の東海道新幹線。14・15番線ホームの北側(神田方面)は、隣の16・17番線ホームと少し離れている。どちらも東海道新幹線なのに、どうしてなのか。その理由を調べていくと、40年前の計画が浮かび上がってきた。東北新幹線と東海道新幹線の直通構想だ。どんなプランだったのか。なぜ実現しなかったのか。

東京駅の東海道新幹線ホームの一部は、東北新幹線用だった

「東海道新幹線の14・15番線ホームはもともと、東北新幹線用に計画されたのです」

「新幹線の謎と不思議」(東京堂出版)、「JR崩壊」(角川書店)などの著書がある鉄道ジャーナリストの梅原淳さんは、東京駅の歴史をひもとく。

「1971年に東北新幹線が計画された際、在来線の12~15番線を転用することにしました。ところが75年の山陽新幹線開業で、新大阪駅で相互乗り入れする東海道新幹線の需要も増え、当初東北用としていた14・15番線を東海道に回したのです」

16・17番線ホームは在来線の転用ではなく、18・19番線ホームとともに64年の東海道新幹線開業にあわせて造られた。もともと東京駅止まりなのでカーブする必要はない。

これに対して14・15番線は東北新幹線用に在来線ホームを北側に延ばして造った。その先に延びてくる東北新幹線の線路につなげるには、ホームの一部を曲げるしかなかったのだ。

ところで話はそれるが、14・15番線は東北新幹線用に改修されるまで長らく在来線(東海道本線)が使っていた。さらに歴史をさかのぼると、そもそも新幹線のために確保された場所だった。

その名も弾丸列車。東海道新幹線のベースとなった戦前の計画だ。東京から大阪を経て下関を結び、その先は朝鮮半島、中国大陸までもつなぐ構想だったという。日本坂トンネルなど一部は工事が行われ、東海道新幹線でも使われた。ルートも多くは踏襲された(日本国有鉄道東京幹線工事局編「東海道新幹線工事誌」)。

東北新幹線、キャッチコピーは「ひかりは北へ」 直通を想定

それにしても東北新幹線のためのホームが、なぜあっさりと東海道新幹線に転用されたのか。

東日本旅客鉄道東京工事事務所編「東北新幹線工事誌 東京・上野間」によると、71年時点で東京駅には新幹線用として4面8線(4つのホームと8本の線路)が計画されていた。12番線から19番線だ。このうち5線が、東北方面と東海道方面、両方につながることになっていた。

つまり東北新幹線は計画当初から、東海道新幹線との直通運転を想定していたのだ。いずれ直通するのだから、東北用のホームを東海道が先に使っても問題はない。当時は「暫定使用」としていた。

ちなみに71年、東北新幹線の工事着工時のキャッチコピーは「ひかりは北へ」。当時「ひかり」は新幹線の代名詞だった。加えて直通によって「ひかり」を東北にも走らせるという意味も込めたのではないか。同じく直通を前提に造られた山陽新幹線のキャッチコピーは「ひかりは西へ」だった。

東海道新幹線の需要急増で線路が不足 しぼむ直通構想

直通を目指した両新幹線だったが、77年になると計画は大幅に縮小されてしまう。工事誌によると、東北方面と東海道方面をつなぐ線路は1線のみとなった。この間、何があったのか。

東海旅客鉄道新幹線鉄道事業本部編「新幹線の30年 その成長の軌跡」は豪雪などによる列車の遅延急増を理由に挙げる。

「安定した輸送を確保するためには、東京駅の着発線容量を増大し、東海道新幹線用として3面6線を確保する必要があることが明らかになった」

75年には山陽新幹線が開業し、乗客が急増した。遅延の連鎖を最小限に抑えるためにも、東京駅にもう2線必要との見方が強まった。

直通運転、可能性は残すが行わない方向に

あおりを受けたのは東北新幹線だ。同書はこう続ける。

「当初計画では、(東北新幹線と)東海道新幹線との相互直通運転については、東京ターミナルの能力を最大限に発揮することのほか、設備、旅客サービス上もメリットが大きいので直通運転を進める方向で検討されていた。しかしダイヤの乱れが相互に波及し、運転管理面に多くの問題が予想されること等から、団体用臨時列車等特殊列車の直通運転の可能性は残す必要があるとしても、定常的には直通運転は行わない方向」

かろうじて14番線は直通の可能性を残したものの、79年に改良工事が完了してからは東海道新幹線が使うことになった。これで両新幹線の直通運転構想はしぼんだかに思われた。

東北新幹線好調で再検討 周波数対応の新型車投入へ

風向きが変わったのは82年。東北新幹線が盛岡―大宮間で暫定開業してからだった。

83年11月17日付の日本経済新聞は「国鉄、東北・上越と東海道・山陽の新幹線相互乗り入れへ」との記事を掲載した。国鉄が両新幹線の直通運転を内定したという。それはこんな内容だった。

国鉄は相互乗り入れは困難とみていたが、開業した東北・上越新幹線が好調で、盛岡―新横浜間、仙台―名古屋間など中距離路線なら飛行機から需要を奪えると判断。線路自体は東北から九州までつなげるとしても、実際に直通で走るのは需要が見込める区間に限定する。直通を可能にするための新型車両を随時投入する――。

両新幹線の直通計画には、駅や線路のキャパシティー(容量)に加えて、周波数の問題があった。東海道の60ヘルツに対して東北は50ヘルツ。2つの路線をまたぐには、周波数変換装置を備えた車両が必要だった。記事によると東海道新幹線では87年に耐用年数が過ぎた車両の大量交換が控えており、それに合わせれば費用面の問題もクリアできる、とのことだった。

ちなみに大宮まで開業した東北新幹線は、その後東京駅乗り入れに9年かかった。沿線住民が激しく反対したからだ。住民にとっては通過するだけでメリットが乏しい上に、騒音問題があった。そこで国鉄が住民を説得するため持ち出したのが埼京線の建設。埼京線は新幹線建設の副産物だった。

「14番線返せ」「線路がパンク」… 民営化で対立勃発

光明が差したかに見えた両新幹線の直通構想。しかしここで再び、暗礁に乗り上げてしまう。きっかけは国鉄民営化。87年のJR誕生によって、東北新幹線はJR東日本、東海道新幹線はJR東海に分かれた。そしてJR東海は、この直通計画に難色を示した。

同社がまとめた「新幹線の30年」は「東京―品川間の線路容量」を反対の理由に挙げる。

当時、東海道新幹線はパンク状態に近づいていた。

直通計画では東海道新幹線は東京都北区にある田端車両基地、東北・上越新幹線は同品川区にある大井車両基地と品川基地に収容し、点検を受けることになっていた。基地に出入りする列車は途中まで営業用線路を走る必要があるが、線路にはもう、列車を増やすだけの余裕がない。JR東海は「東海道新幹線の本数がここまで増えた現状では、東北との直通は困難」と主張した。

収まらないのがJR東日本だ。88年8月22日付の朝日新聞によると、同社はJR東海に対し、東海道新幹線が使っている14番線に東北・上越新幹線を乗り入れさせるよう要望を出した。同社の山之内秀一郎・元会長は著書「東北・上越新幹線」(JTBパブリッシング)の中でこう記す。

「東海道新幹線が使っている3面のプラットホームの1つは、元来東北・上越新幹線用だったのだが、国鉄がJRになった後では、JR東海に頼んでも、とても返してくれる雰囲気ではなかった」

実は、東海道新幹線が使っている14・15番線ホームの改修費用は、東北新幹線の予算から出ていた。国鉄が行き詰まる一端を担ったともいわれる東北新幹線の巨額の建設費の一部が、東海道新幹線のためにも使われていたのだ。

その後も両社は一歩も引かず、議論は平行線をたどる。工事誌によると、89年になって運輸省を交えて検討した結果、「当面は直通運転を行わず、開業後の需要動向をみて平成6年(94年)までに直通運転のあり方について運輸省に報告する」ことで合意した。そして96年、ついに正式に「直通計画は中止」と発表された。

リニア開業でどうなる

中止決定から18年。両新幹線が直通するとの話は聞こえてこない。ただ、東京駅では東海道、東北新幹線の線路をそれぞれ東北、東海道方面の線路につなげることは物理的に可能だ。

次に注目されるとしたらリニア中央新幹線の開業後だろう。2027年に名古屋、2045年に新大阪とつながれば、東海道新幹線の本数が減り、線路の運用に余裕ができるかもしれない。

91年、JR東海の須田寛社長(当時)は東北新幹線と東海道新幹線の乗り入れについて「中央リニア新幹線の開通で、東海道新幹線の利用状況が著しく変われば、議論の対象になるかもしれない」と述べている(中日新聞、91年6月21日付)。バブルの余韻が残る時代の発言はあまり参考にはならないが、可能性としてはないわけではない。

次回はもう一つの新幹線計画と、変わり続ける東京駅の姿を探る。(河尻定)

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