犬がほえる姿を見てもミラーニューロンは無反応

ミラーニューロンの起源は「自分を自分と感じるシステム」だったと村田さんは考えている。「自分の手を動かすとき、脳内の運動命令と、目で見た手の動き が一致すると、“これは自分の体だ”という一体感が生まれます」(村田さん)。このシステムが、あるとき他者の動きを見たときにも働き始め、無意識に動きを一致させる性質が生じたようだ。

「だから、同じような体の形の相手じゃないと、ミラーニューロンは稼働しないのですよ」。

例えば人間のミラーニューロンは、犬がエサを食べる姿には反応するが、ほえる姿には反応しないそうだ。食べる姿は我が事として感じられるが、ほえる姿は自分と重ねにくいらしい。

「もし宇宙人がいて、彼らの体が人間と全く違う形をしていたら、コミュニケーションはかなり難しいでしょうね」(村田さん)。

北村昌陽(きたむら・まさひ)
健康・医療系のフリーランスライター。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。専門知識を生かした取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。

[日経ヘルス2011年4月号の記事を基に再構成]

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント