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脳の中にある「物まね神経」のすごい働き 働きもののカラダの仕組み 北村昌陽

2012/5/6

今回取り上げるのは脳の働き。脳科学の最先端トピックです。実は脳の中に「物まね」をさせる神経があります。この神経が、近年、大発見として注目されています。え、物まねのどこがすごいのかって? 実はそこに、人間の心のしくみを読み解くカギがありました。

今回の主役は、「ミラーニューロン」という神経細胞だ。1990年代初頭にサルの脳内で見つかり、「DNAの発見に匹敵する」といわれるほど、脳科学や心理学に大きなインパクトを与えた。

ミラーニューロンには面白い性質がある。目で見た人の動きを、体が勝手にまね(模倣)するように働いているのだ。

こんな経験はないだろうか? スポーツ観戦中、躍動する選手の動きに合わせて思わず自分も動いている気分になったとか、ドラマに見入っていてふと気が付くと、主人公とそっくりのポーズをしていたとか。そんな“なりきり状態”を作り出すのが、ミラーニューロンの働き。

なるほど。でもそれがどうして「DNAに匹敵」するほどすごい発見なのだろう?

動きをまねすることで動きの意味を理解する

(この記事のイラスト:江田ななえ)

近畿大学医学部第一生理准教授で国内のミラーニューロン研究の第一人者である村田哲さんによると、発見は全く偶然だったという。「イタリアの研究者が、サルの脳の運動前野という場所に電極を刺して実験していました。ここには手や指を動かす神経があるのですが、あるとき、サルが全く手を動かしていないのに、一部の神経が活動したのです」(村田さん)。

実はこの神経、研究者が手で何かをつかむ姿を、サルが見たときに活動していた。手を動かす神経なのに、他者の手の動きを見るだけで反応したのだ。これがミラーニューロンだった。細かく調べると、動きの種類によって、違う神経が働いていた。「指先でつまむ動き」を見たときは、つまむ命令を出す神経が反応し、「手を握る動き」を見たときには、握る命令を出す神経が反応する。人間の脳でも、MRIなどを使って、同様の活動が確認されている。

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