働き方・学び方

集まれ!ほっとエイジ

介護はお世話からリハビリへ 「普通の生活」基本に 国際医療福祉大学大学院教授 竹内孝仁氏

2013/2/1

■現行制度の矛盾 要介護度下げると報酬は減少

――自立支援介護で要介護度を下げると介護報酬が下がるという制度の矛盾もあります。

竹内 現状はその通りなのです。がんばって自立させると要介護度が下がって報酬が減ります。ところがおむつがゼロになった瞬間におむつ代が年間数百万円節約できる。胃ろうを外したり、ペースト食、ミキサー食を普通食に変えても、相当コストが下がります。

一方、要介護度5でおむつをしていた人が立っておむつが外れても、いまのチェック方式だと、要介護度2にはなりません。なかには要介護度3くらいになる人も出てきますが、トータルで見ると減収にはなりません。

自立支援介護などの努力をしたくない人が、「頑張ると介護報酬が下がるからやらない」と言っているだけです。“治す介護”にもっと前向きに取り組んでほしいと思います。

――施設に入っても自宅介護と同様に、「お世話される」だけならば、自宅介護のほうがいいわけですが、施設に入って治してくれるならば、施設介護の優位性が高まりますね。

竹内 私が考えている自立支援介護は、こういうイメージです。「要介護になったら施設にいらっしゃい。テキパキ治してあげるから。そうしてまたお家へ戻りましょう。要介護になったらまたいらっしゃい」――。出たり入ったりする。

“在宅復帰特養”になれと言っています。いま在宅で要介護認定を受けたばかりの人が1年後に要介護で4や5に重度化する例は多いです。年間21万人くらいが自宅で重度化しています。病気をした人が入院した後、老人保健施設や回復期リハビリテーション病院へ行って家に帰るというルートはあるのですが、家にいたまま要介護度が高くなる人は病院では受けてくれません。ですから特養にそれを受けたらどうかと言っています。

■自立支援介護の推進が離職者増に歯止めかける

――現状、特養は入居待ちの人が42万人もいると言われています。

竹内 それは家に戻さないからです。特養は終の住み家ではありません。だいたい3カ月あれば、要介護度4や5でも、ほどほどのところに持っていけます。

――今後、介護のプロと呼べる人材を増やしていくことはできるのでしょうか。

竹内 5人で10人の介護をするのがいまは精一杯ですが、自立支援でふんばると5人で15人をみることができるようになります。でも5人を8人にするのは大変ですね。

それと自立支援介護に価値を見出した人は離職しなくなっています。自立支援介護に力を入れることで離職者が出やすい環境を改めることはできます。

――介護保険法は、自立支援を目的にしているのですか。

竹内 「要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする」という一文がありますが、その大事な理念が実現していません。

――竹内先生が孤軍奮闘では、困りますね。

竹内 私の考えを継ぐ人間はたくさん出てきていますので大丈夫です。すでに事例の指導などは私がやる必要はなくなっています。

(ラジオNIKKEIプロデューサー 相川浩之)

[ラジオNIKKEI「集まれ!ほっとエイジ」9月26日、10月3日放送の番組を基に再構成]

「集まれ!ほっとエイジ」は、変化を恐れない果敢なシニアたち=ほっとエイジが、超高齢社会をどう生き抜くか、を考えるラジオNIKKEIの番組(http://www.radionikkei.jp/hot-age/)で、日経電子版には2012年放送分を再構成して掲載しています。1月11日からは「集まれ!ほっとエイジ ワイド」として毎週金曜日11:35~12:30に生放送でお送りしています。キャスターは相川浩之、町亞聖。

働き方・学び方 新着記事

ALL CHANNEL