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100年来の夢、五輪で結実 東京湾岸で国家イベント

東京ふしぎ地図ツアー

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NIKKEI STYLE

湾岸でかつて計画された「東京万博」予定地など東京の不思議スポット。バスツアーで巡ってみた

湾岸でかつて計画された「東京万博」予定地など東京の不思議スポット。バスツアーで巡ってみた

2020年東京五輪の開催が決まり、湾岸エリアでは開発が加速している。この地区では過去何度も、大きなイベントが計画されてきた。戦前の万国博覧会(万博)や五輪、庁舎の移転構想、そして世界都市博覧会(都市博)――。政治に翻弄され続けた湾岸地区を中心に、東京の「ふしぎ」スポットをバスでぐるりと巡った。

大手町から秋葉原・築地・湾岸バスツアー

2月26日午前10時。快晴の空の下、東京・大手町の日本経済新聞社東京本社に、20名を超える人々が集まった。「東京ふしぎ地図ツアー」の参加者だ。

日経ストア主催のこのツアーは、電子版の連載企画「東京ふしぎ探検隊」とそれを電子書籍化した「東京ふしぎ地図」の読者を対象に募集した新企画。これまで取り上げてきた数々の「ふしぎ」スポットをバスで訪ねた。

大手町出発後、向かったのはJR秋葉原駅近くに昨年オープンした商業施設、「マーチエキュート神田万世橋」。1943年までこの地にあった万世橋駅の遺構を活用した施設だ。

万世橋駅は1912年、国鉄中央線の発着駅として開業した。東京駅と同じく辰野金吾が設計した赤レンガの駅舎は、威容を誇っていた。

神田川の水運と中山道の陸運とが交わる万世橋付近は当時、東京随一の繁華街で、日露戦争で活躍した広瀬武夫中佐の銅像が建つ交差点は、多くの人でにぎわっていた。マーチエキュート神田万世橋内にあるギャラリーでは、駅周辺のジオラマや写真を見ることができる。

ツアー一行は往時をしのびながら周囲を散策。交通の要衝として発展してきた秋葉原周辺の歴史に思いをはせた。

伊勢丹は秋葉原が創業の地

秋葉原を出ると、バスは岩本町にある首都高速道路の拡張計画の痕跡などを見ながら進んだ。途中、かつて「伊勢丹発祥の地」という記念碑があった場所を通過。今は新宿のイメージが強い伊勢丹だが、実は誕生の地は秋葉原だ。1886年、中山道に面した場所に「伊勢屋丹治呉服店」として店を開いた。中山道は現在の国道17号だ。新宿に移転したのは1933年のことだった。

次のスポットは築地かいわい。「『丸の内―新宿8分』の構想も 首都高、幻の路線計画」で紹介した、道路計画が生んだ地下の不気味スポットを見学した。塩漬けになっている首都高晴海線の延伸は、2020年の東京五輪開催で新たな展開を見せるのだろうか。

そして一行は湾岸地区へ。晴海、豊洲、辰巳……。歴史的なイベントが行われるはずだった場所を、バスで回った。

1940年、東京五輪の開催が決定していた

1930年代前半、湾岸では2つのビッグプロジェクトが、時を置かずして立ち上がった。五輪と万博だ。

五輪は1932年、正式に立候補し、1936年の国際オリンピック委員会(IOC)総会で開催権を勝ち取った。最後はフィンランド・ヘルシンキとの一騎打ちだったという。

開催が予定されていたのは1940年。紀元2600年の記念事業と位置付けられた。紀元2600年とは日本書紀に基づく日本建国の年、つまり神武天皇の即位から2600年という意味だ。1923年の関東大震災からの復興を世界に示す狙いもあったようだ。

ちなみに当時は冬季五輪も夏季五輪の開催国に優先権があり、1940年2月に札幌での開催が決まっていたという。

このときの東京五輪は当初、湾岸地区での開催を検討していた。東京市(当時)が強く主張したのだ。埋め立てられたばかりの更地で五輪を開催し、都市開発を加速させることをもくろんでいた。場所は7号埋め立て地、今の辰巳周辺だった。

しかしこの案に大日本体育協会などスポーツ界が猛烈に反対した。強風が競技を妨げる、という理由だった。その後、神宮や代々木、青山などの案が検討され、最終的には駒沢に落ち着いた。

主会場が駒沢に決まった3カ月後の1938年7月、政府は五輪開催権を返上した。日中戦争突入と鋼材不足が原因だった。五輪は次点だったヘルシンキで開催することになった。

同じ年に晴海・豊洲で万博も 入場券100万枚販売

五輪とほぼ同じ時期、もう一つの国家プロジェクトも盛り上がりを見せた。万博だ。当時は五輪より大々的に進められたという。

規模も大きかった。晴海と豊洲、そして台場にかけてが会場となる予定だった。晴海には日本館、豊洲には外国館を配置するプランだったらしい。

痕跡がほとんど残っていない五輪と比べ、万博はあちこちに「実物」が残っている。

まずは入場券。抽選券付きで発売され、100万枚が完売した。中央区にある郷土天文館(タイムドーム明石)に本物が残っている。

この入場券、実は大阪万博でも使われた。中止となった五輪に対して万博はあくまで「延期」とされ、大阪万博は東京万博の延長線上ととらえられたためだ。郷土天文館の増山一成さんによると、大阪万博で3077冊、さらには2005年の愛知万博でも48冊が使われたという。

建造物でいえば、築地と月島を結ぶ勝鬨(かちどき)橋は、万博に合わせて造られた。会場への玄関口と位置付けられ、世界に日本の技術力を誇示する狙いがあったという。

テーマ曲も創られた。「日本万国博覧会行進曲」だ。歌詞は一般公募し、レコード会社6社がそれぞれ別の歌手で売り出した。「青い山脈」で知られる藤山一郎もその1人。各社競作でテーマソングを売り出す手法は、後の大阪万博にも引き継がれた。この万博行進曲も、郷土天文館で聞くことができる。

東京市庁舎は晴海に移転予定だった 夢の島には国際空港

五輪と万博。2つの国家プロジェクトを湾岸で開こうとした東京市は、自らも臨海部に拠点を移すことを考えていた。

1932年、東京市は当時有楽町(現・東京国際フォーラム)にあった市庁舎を、晴海に移すと決めた。現在、晴海トリトンスクエアがある場所だ。湾岸に乗り込むことで開発を加速させる狙いがあったようだ。

計画は住民の反対や議会の反発で頓挫してしまう。もし実現していたら、その後の東京都庁の新宿への移転はなかったかもしれない。

湾岸ではもう一つ、戦略施設が検討されていた。国際空港だ。

1938年、現在の夢の島に「東京市飛行場」を整備することが正式に決定した。当時としては世界最大規模だった。羽田より都心に近いうえ、羽田空港の拡張には限界があるとみられていたことが影響した。羽田周辺では当時、工場建設が見込まれていたからだ。

計画決定後、夢の島の埋め立て工事が始まった。当時は夢の島という名前ではなく、「江東区南砂町地先」という仮称が与えられていた。

しかし工事は戦争激化で中止となり、戦後、この場所に海水浴場が誕生する。その名前が「夢の島海水浴場」だった。夢の島という名前は、ここからきているのだ。

都市博は万博の再現狙う

湾岸地区ではその後もイベントが企画された。かつて万博が予定されていた晴海には東京国際見本市会場ができ、1959年から1987年まで東京モーターショーが開かれた。

1996年には台場で世界都市博覧会(都市博)の開催が予定されていた。当時の鈴木俊一知事は幻となった1940年万博の再現を目指した、とも伝わっている。

ちなみに鈴木知事は大阪万博の事務総長で、当時も東京での万博開催を主張していたという。東京での博覧会開催は、長年の悲願だった。

東京市や東京都が執念を燃やしてきた湾岸地区でのイベント開催。晴海や豊洲が埋め立てられてほぼ100年を迎える2020年の五輪で、ようやく実を結ぼうとしている。歴史を振り返りながら改めて現場を眺めると、見慣れた風景も違った印象を帯びてくる。

変わりゆく東京をスケッチ

歴史を巡った今回のツアー。参加者からは「1940年の五輪の話は知っていましたが、万博の話は知りませんでした」「東京は建物のサイクルが短く、街の香りが欧州のように残っていないと思っていましたが、きちんと見ると痕跡が残っていて面白いですね」などの感想があった。

東京ふしぎ探検隊は、今回で80回目。変わりゆく東京の過去・現在・未来を探りながら、これからも歩き続けます。(河尻定)

今回巡った「ふしぎ」スポット
旧万世橋駅→伊勢丹発祥の地→岩本町の「イカの耳」→築地川公園・謎の地下道→勝鬨橋→晴海トリトンスクエア(東京市庁舎移転予定地)→東雲→豊洲→夢の島(東京市飛行場予定地)→若洲海浜公園→東京ゲートブリッジ→中央防波堤→レインボーブリッジ→新橋→銀座番外地
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