これって年のせい? 男の悩みを解決します(上)日経ヘルス for MEN

なかなか人に聞けずに抱えてしまいがちなのが「アレ」の悩み。30代後半から40代になり、なんだか日々「力強さ」が失われていく感じを持っている人も多い様子。「話には聞いていたが、これってED?」。そんなときの対策を解説します。
(この記事のイラスト:前田はんきち)

40歳以上の約7割が「自信がない……」

「若いころのようにいかないとしても、萎(な)えてしまうことが増えた、自信が持てなくなった……」と、どうやら多くの人が思っているようだ。

ファイザー製薬が2009年に行ったアンケートで、40歳以上の約7割が「硬さに自信がない」と答え、ほぼ同じ割合で、自身の勃起不全(ED)を疑っているという結果が出た。

「健康体であれば60代でも問題なく勃起します。40~50代で勃起不全の症状があるとすればストレスによるところも大きい。裏では糖尿病や動脈硬化などの病気の進行も考えられます。勃起は健康体かどうかのサインなのです」と言うのは札幌医科大学の熊本悦明名誉教授。つまり、立つ、立たないは年齢ではなく、健康状態を表すというのだ。

たまたま緊張してしまい、失敗してしまったなんてことから、自信を失い悪循環に陥るケースも多い。精神的な影響を受けやすいため、「立たない」「途中で萎えた」が即EDというわけではないが、「それが続いたり、本人が不安や不満を抱えていればそれだけでEDといえる」と、熊本名誉教授はいう。

全く立たなくなるのがEDではない。途中で萎えてしまうのも立派なEDで、病院を訪れる約9割がその悩みを抱えているという。 肥満も原因の一つになる。肥満が性機能を衰えさせることは医学的にも証明されている。性的興奮によって、ペニスの海綿体の動脈には、大量の血液が洪水のように送られる。動脈が拡張して膨らみ、静脈がふさがれる。それによってペニスの勃起が維持できるというわけだ。ところが、動脈硬化によって血流が悪くなると、動脈が膨らまず、静脈を圧迫することもない。完全に勃起させることが困難になる。立たない焦りが、ペニスを萎えさせ、悪循環に陥る。

「ペニスの血管は最も細い。真っ先に動脈硬化が起こる場所と考えてほしい。性交中だけでなく、早朝の勃起を気づけなくなったら、不調が生じている証拠」と熊本名誉教授は言う。

40代はストレスが原因の一つ

そして、男性ホルモン(テストステロン)の減少も問題の一つ。ほかの世代に比べ、40代の男性ホルモンが低下しているという報告がある。その原因と考えられているのはストレスや運動不足。40、50代の男性といえば、会社員なら責任のある管理職。そのストレスが大変なものなのは想像に難くない。

テストステロンが減少すると、全身の倦怠(けんたい)感、不眠、発汗異常など女性の更年期障害と似た症状が現れる。イライラや不安などの症状が進行するとうつ病になることも。実際に、ふさぎ込む夫がうつ病ではないかと心配して、妻が夫を病院に連れてくるケースでは、そのほとんどがEDだという。