
テストステロンが減少すると、内臓脂肪が増えることも明らかになっている。つまり、ストレスと男性ホルモンと肥満は非常に密接な相関関係にある。そのサインとしてEDがあり、さらに糖尿病や心筋梗塞(こうそく)などの重篤な病気へとつながる。
「変に恥ずかしがったり、気負ったりせずに、気軽に泌尿器科に相談してみるといいでしょう」(熊本名誉教授)。パートナーの理解も大切だから、できれば2人で考えたい問題だ。
漢方では「腎」のエネルギー低下を「補腎」で若返りを図る
近年、男性の勃起障害や性の悩みで、漢方医のもとを訪れる人が増えているという。
「漢方の場合、ピンポイントで治すのではなく、体全体を改善するという治療。性機能が回復すると、冷えや腰痛なども改善され、総合的に元気に若々しくなる人が多い」と北里大学東洋医学総合研究所の医師、櫻井正智さんはいう。
東洋医学では、本来60歳前後までは精力も衰えず、まさに「現役」と見る。勃起障害や性欲減退などの症状は、老化をつかさどる“腎”のエネルギーが弱る腎虚(じんきょ)。これに対しては「腎」のエネルギーを回復させるための治療をする。
「腎のエネルギーを高めることは、若返りを意味する。漢方の補腎剤の発想は、究極の若返り薬」と櫻井さん。漢方薬での治療は1カ月は必要で、半年以上になる場合もある。ただし、改善されると、「一時的に立たせる」という薬などの作用と異なり、「性行為での快感や気持ち良さを味わえるようになる」という。
右は腎虚度のチェックシート。自覚症状がなくてもチェックがついた項目が多い人は要注意。たまには自分の体を見直してみよう。
(ライター 中能泉=なかよくオフィス)
[日経ヘルス for MEN 2010年夏号の記事を基に再構成]