ダイエットいつも挫折なら…ストレッチがおすすめ
そもそも筋肉とは繊維状の筋細胞、「筋繊維」が束になった組織(図1)。さらにこの筋繊維はコラーゲン、グリカンなどの生体成分からなる「細胞外マトリックス」と呼ばれる結合・融合組織に包まれている。体を動かすと筋細胞で発生した力がマトリックスに伝わり、さらに腱(けん)に力が伝達され、関節を介して運動ができる仕組みだ。「筋肉が柔らかい、硬いというのは筋細胞自体の硬さが変化するのではなく、細胞外マトリックスの成分が変化するということです」と実践女子大学大学院の山田茂教授は説明する。
強くて柔らかい筋肉をつくるには、筋細胞の周りにある細胞外マトリックスの組成を変えなければならない。それには運動による刺激を与えて組織を壊し、つくり替える「クラッシュアンドビルド」が必要になるという。
壊して再生する、を繰り返すことで細胞外マトリックスは柔らかさを保ち、筋肉も太く、よく伸びるようになる。筋肉量が増えることで熱をつくり出せるようになり、血流が改善され、代謝も上がる。このとき筋トレなどの極端に強度の高いトレーニングをする必要はなく、ストレッチでも筋肉量を増やすことが可能だ。筋肉量が増えれば基礎代謝も上がり、カロリーを消費しやすい「やせ体質」になる。
一方、「筋肉は記憶を持っているため、昔運動をしていた人はかつての記憶が呼び起こされ、筋肉がつくられやすい。個人差はあるが、体を動かせば年齢に関係なく柔らかい筋肉に変えられる」(山田教授)とも。
だが、筋肉は常に動かしていないとすぐに硬く小さくなるため、継続が大事。その点で、負荷が大きくなく、時間と場所を選ばず、全身の筋肉を動かせるストレッチはうってつけなのだ(図2、図3)。
この人に聞きました
実践女子大学大学院 生活科学部食生活科学科 スポーツ・栄養学研究室教授。実践女子学園健康栄養科学研究所所長。地域高齢者の生活機能向上を目的としたプロジェクトに関わるほか、運動と栄養に関する研究を行っている。著書に『運動分子生物学』『生化学、生理学からみた骨格筋に対するトレーニング効果』(いずれもナップ)など。
(日経ヘルス編集部)
[日経ヘルス編『一生たるまない!ストレッチ』の記事を基に再構成]
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