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働き方・学び方
僕たちはどう働くか

海外にない日本の良さの本質 それは「融合」クリエイター 小橋賢児(5)

2014/7/1

僕たちはどう働くか

若い人たちが「海外に行かない」といわれています。僕は単に増えている、減っているのではなく二極化しているのではないか、と思っています。日本の外に出ることは、新しい経験や価値観に接触できる、貴重な機会です。人間は真理を知りたい、という欲求がどこかにあると思います。今、本やインターネットを使い、情報を得ることはできますが、やはり体験に勝るものはありません。むしろ、知識が先行することで思考の広がりが止まってしまうこともあると思っています。

小橋賢児(こはしけんじ) 1979年東京都生まれ。88年、8歳で子役としてデビュー。 1996年映画『スワロウテイル』(監督 岩井俊二)やドラマ『ちゅらさん』(2001年)など数々のドラマ・映画に出演。2007年、俳優活動を休業し渡米 。2012年、初の長編映画「DON'T STOP!」で映画監督デビュー。現在はULTRA JAPANのクリエイティブディレクターもつとめる。

米国ではずっと無視されているような気持ちに

初めて僕が海外に出かけたのは、10歳のときです。コマーシャルの撮影で向かったロサンゼルスでした。その後数年がたち、俳優を休業し冬のボストンへ語学留学をしました。ドラマの役でもしたことがなかったのに、人生で初めて自分で丸刈りにしたんです。

「ハウマッチ」程度しか話せなくて、自分から話しかけることもできませんでした。それでも留学中に「英語で外国人の友達とけんかができるようになること」「外国人の友達と米国を横断すること」の2つは必ずやり遂げる、そう決めました。

ところが、たとえ外国人と話す機会ができても最初の挨拶が終わったあと僕はずっと無視されていました。僕はまともに英語を話すこともできないのに、ノーマルスピードで周りは話してばかり。どうしてこの人たちは僕を平気で無視できるんだろうと最初は思いました。もし日本なら海外からきた人が日本人のなかで一人いたら、気を遣って話しかけようと思うでしょう。

今だからわかるのですが、逆に彼らは「ケンジはなぜずっと黙っているんだろう」と感じていたんです。話したくないから話さないんだろう、そう思っていたんだと思います。様々な人種が共存する場所では、そもそもの常識というものがそれぞれ違うので、自分の主張というものがないと相手には伝わらないんです。

日本の常識は通じない 頭ではわかっていたけれど

春休みに入ったとき、ボストンで僕に英語を教えてくれていた先生と、ニュージャージー州で出会った大学生の友達に「米国を車で横断しないか?」と声をかけました。意外に現地の人も米国横断をしたことがないんです。

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日本人の「生真面目さ」が自分を追い詰める