怖くてなかなか舞台には足が向かなかったんですが、30代になって演技に臨もうとなったとき、舞台もオファーが来たら絶対に断らないって決めていた。そうしたら、ちょうど岸谷(五朗)さんと寺脇(康文)さんの地球ゴージャスから(1997年『紙のドレスを燃やす夜』)出演のお話をいただけた。若い俳優さんと発声や柔軟体操の練習をしたり、まるで学校のようで、厳しくも楽しくて。あの経験があるから今も、出続けていられるのかもしれませんね。

表1

以来、毎年のように数々の作品に出演(表1参照)。例えば舞台の世界では蜷川幸雄と岩松了の『シブヤから遠く離れて』(2004年)、気鋭の舞台制作集団シス・カンパニーの『楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~』(2009年)などで高評価を集めている。

また、映画においては、『風花』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞、『毎日かあさん』(2011年)では元夫・永瀬正敏と夫婦役で共演。女優・小泉今日子は歌手・小泉今日子同様、常に新鮮な話題を振りまき続けている。これはかなり異例のこと。一般的に映画やドラマの世界では、消費に積極的な10~30代が対象の作品が多くなるので、女優は年を取れば取るほど仕事は減っていくといわれている。ところが今も小泉のもとには出演オファーが引きも切らない。

小泉 私は、むしろ女優は年の数だけ仕事が増えるんじゃないかって思ってるんですよ。実際、若い頃って良識的なOLとか理想の娘とか、そんな役ばかりだった気がするんですけど、今ならお母さん役もキャリアウーマンもできるし、『贖罪』のようなちょっと精神のバランスを崩した中年女性や、犯罪者の役だってできるじゃないですか。

まぁ、(猟奇殺人犯・日向真奈美を演じた)『踊る大捜査線』以来、30代のうちは、オカシイ役ばかりオファーがありました。主婦にしてもお母さんにしても精神状態が普通じゃない人、心に闇や危うさを抱えている人の役ばかり(笑)。

それはそれで楽しくて勉強にもなったし、キャリアを積んだことで私のキャラクターを知ってもらえたからこそいただけた役だと思います。最近では『とんび』のような心優しい女性の役もいただけるようになりました(笑)。やっぱり年を取ると役の幅が広がるような感じはします。

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