常に新しい価値観を提示しながら、順風満帆に活動を展開しているように見える小泉だが、時には疲れを感じる瞬間もあるという。特に1990年代後半、彼女は、それまでの音楽中心の活動から一転、女優業、なかでも映画や舞台に活動の力点を置くようになっているが、そこには一連の音楽活動に対して思うところがあったのだとか。

 

小泉 1990年代後半以降、音楽活動に使う時間を減らした理由のひとつに「アイドルとして、歌手として常に面白い企画を」って考えることに息切れしてしまったこともあるんです。「もっと面白いこと、もっと面白いこと!」という、ある意味での悪ノリが加速しすぎて、余裕がなくなっていたし、自分でもコントロールできなくなっちゃっていた部分もありました。

そして、そんなころ『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998年)や『風花』(2001年)のようなお仕事が舞い込んできた。もちろん歌手メインでやっていたときも、そのときなりに懸命にお芝居をしていたつもりでしたが、ちょっと苦手意識があって敬遠気味でもあったんです。でも、当時私ももう30代でしたし、ここで取り組んでおかないと、やらないままどんどん時間が過ぎていっちゃう気がして。だから、ここはお腹に力を込めて取り組んでおこう、と。

特に『風花』は、お腹に力を込めるきっかけになった作品ですね。相米慎二さんというものすごい監督の下で勉強させてもらえた上に、浅野忠信さんをはじめ、1980年代からずっと低迷していた日本映画をどうにか盛り立てようと命を賭けている若い男の子の俳優さんやスタッフの方に出会うこともできた。

ただ、その一方で周りを見渡してみたら、私以降の世代で映画を背負おうとする女優が意外と少ないなってことに気づいたんです。そこからですね、映画への思いが強くなったのは。

舞台についても、若い頃、久世光彦さんのドラマなどで共演させていただいていた俳優さんがみんな舞台をバックボーンに持っていて。舞台出身の役者さんって、お芝居のアプローチの方法が私たちと違って面白かったんですよ。それ以来、「舞台には私の知らないなにかがあるに違いない」という思いが常にあったんです。

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