介護保険は難しい そのとき勉強では手遅れに介護コンサルタント 中村寿美子氏

――介護保険制度の介護サービスはいろいろなものがありますが、利用者は、どんな施設・サービスを選べばいいのでしょうか。

中村 いろいろな方が私のところに相談にみえるのですが、やはりその方の背景をうかがわないと、その人にとって一番良いサービスは提案できません。一人暮らし、同居家族がいる、いろいろなネットワークがあって複数の介護力がある――。大きく分けるとこの3つになるんですが、それによって私がご提案するものも違ってきます。さらに、その方の経済力、健康状態が、提案の際に考慮する要素です。しかし、情報を必要とする人に必要な情報が届いていないと感じます。IT(情報技術)が進んでいる社会で、不思議です。

たとえば、都会の真ん中、渋谷区が造ったケアハウス。費用はその人の所得に応じて支払えばいい施設で、良い仕組みの施設だと思うのですが、空き室があるんです。なぜかというと、そのケアハウスは渋谷区に3年住んでいないと申し込む資格がないんですね。しかも空室があるという情報が全然行き渡っていない。

親を呼び寄せても、すぐ施設には入れず

――ケアハウスというのはどういう施設なのですか。

中村 60歳以上で、入居する時点では自立の人、将来、介護になったら軽介護(要介護度2くらい)まではいられます。寝たきりになったり、認知症になったりして問題行動がでてくるようになったら、介護施設に住み替えます。

――そうすると、ケアハウスのある地域に住んでいる人が、ケアハウスに住んでもらおうと思って地方にいる親を呼び寄せても、すぐに入れないわけですか。

中村 このケースのように、区や市が設置したケアハウスの場合は、2~3年間自宅で看なければならないわけです。

ただし、特別養護老人ホームや有料老人ホームには「住所地特例」という特例措置があり、その地域に住んでいなくても、外から呼び寄せたりできるんです。

しかし、認知症ケアの切り札といわれるグループホームは、介護保険の地域密着型サービスに入ってしまいましたので、「住所地特例」はありません。私は住所地特例をグループホームや、ケアハウスにも使ったらいいのではないかと思います。

――グループホームというのはどんな施設なのですか。

中村 認知症ですが、身体能力はある共同生活が可能な方が5~9人グループで一緒に共同生活をするのがグループホームです。自分たちで食事もつくり、助け合いながら掃除もし、職員さんにリードされながら、買い物にも行く。生活を継続することで認知症の進行を抑えるわけです。

年取るほど理解難しく 説明に3時間かかることも

――介護保険制度をしっかり理解して、問題があれば改善を求めていく必要がありますね。

中村 日本人は楽観的で、自分だけは介護を受けないだろう、自分だけは認知症にならないだろうと思っているんです。でも、私はぜひ、介護保険については早目に、一度しっかり勉強しておいてほしいと思います。

私は消費者センターで高齢者のために老人ホームの選び方というテーマでよくお話をするのですが、高齢者は本を読んでも、なかなか理解できない。図を描きながら言葉で説明すると頭に入るようなので、自治体には講習会を開いていただきたい。でも、自治体が講習会を開くなどの仕組みを国に提案しても「難しい」といわれてしまいます。

――なぜですか。

中村 中学校区に一つある「地域包括支援センター」がすでに対応しているというんです。でも、そこに行っても、忙し過ぎてじっくり相談に乗ってくれません。

――中村さんが館長を務める有料老人ホーム・介護情報館は民間が運営しているんですか。

中村 株式会社で運営していますが、私は信念があって、相談に来られた方が幸せになる道を一緒に考えています。病院のほうが良ければ病院、老人ホームのほうが良ければ老人ホームをお勧めします。老人ホームのなかでもその方の希望に合ったところをご紹介しています。予算のない方には軽費老人ホームも紹介しています。

ただ、一般の人は最終的に施設を選ぶところまで、なかなかたどり着けないです。調べ方から始まって、どういう書類が必要で、どういう順序で進めるか、一つひとつ手取り足とりお教えしています。ですので、お一人の相談に最低でも1時間半、長ければ3時間くらいかかります。