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体の中の「生ゴミ」再生システムで たんぱく質をリサイクル

働きもののカラダの仕組み 北村昌陽

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NIKKEI STYLE

 突然ですが問題です。人間の体は何で作られているでしょうか? 一番量が多い成分は水ですが、体の構造や機能を支えているのは、たんぱく質。体を作る最も主要な素材です。大事なものは大切に扱う。だから体は、たんぱく質をリサイクルして大切に使っています。

食べ物から摂取したたんぱく質は、体内に取り込まれて体を作る材料になる。だから毎日きちんと食べましょう──というお話は、皆さんよくご存じだと思う。これはもちろんその通り。ただ、実は私たちの体内には、食事からの摂取を上回る"材料供給源"があるという。それが「オートファジー」だ。

「オートファジーは今とてもホットな研究分野。医学や生物学の教科書が書き換えられつつあるのです」と話す、東京大学大学院医学系研究科教授の水島昇さんのガイドで、早速始めよう。

細胞内で生じる"ゴミ"を分解して再利用

人体は約60兆個の細胞でできている。「細胞」というとたいていの人は、どこかで目にした顕微鏡画像を思い浮かべるだろう。その画像ではきっと、中が透けて見えているはずだ。そして"透明"というイメージから、多くの人が、細胞の中はさらさらの水分で満たされているような印象を抱いていると思う。

でも実は、細胞の内部はドロドロ。肉をフードプロセッサーにかけるとドロドロになるが、あんな感じなのだという。

「たんぱく質の分子が高濃度で溶けているのです。細胞の内部は、どこもかしこもたんぱく質といってもいいぐらい」

たんぱく質は、20種類のアミノ酸が数十から、ときには数千個もつながってできる分子の総称。つながるアミノ酸の順番によって、たんぱく質の種類が決まる。人間の体内には2万種以上のたんぱく質があり、それぞれが違う働きをしている。

ここで大事なポイント。たんぱく質は劣化しやすい分子で、熱や酸化ストレスの影響で簡単に変性してしまうのだ。だから細胞の中では、時間とともに少しずつ、変性たんぱく質が"生ゴミ"のように蓄積していく。

「それをきれいにする働きが、オートファジーです」

オートファジーはこんな感じで起きる。細胞内に隔離膜という膜がおもむろに出現し、周囲の空間を包みこむ。そこにリソソームという別の小胞が合体。リソソームが持ち込んだ分解酵素によって、包みこまれた成分(主にたんぱく質)が分解される。分解産物(アミノ酸)は、新たなたんぱく質合成に使われる。つまりオートファジーは、お掃除役と同時に、"リサイクルシステム"でもある。

オートファジーは基本的に、ランダムに起きるという。つまり古いたんぱく質だけを狙うというより、たまたま膜の中に入ったものを、古いものも新しいものもまとめて壊す。けっこうアバウトなやり方だ。

「細胞内はたんぱく質が密に詰まっており、変性たんぱく質もそこらじゅうで発生します。大ざっぱなやり方でも、掃除として十分機能するのでしょう」

なるほど。常にスクラップ&ビルドをしていれば、全体として鮮度が保たれるというわけか。体の営みというと何となく"精密なもの"というイメージがあるけれど、こんなおおらかな方法がしっかり機能するのもまた興味深い。

生まれた直後の赤ちゃんは分解がピークになる

オートファジーの活性は常に一定ではない。例えば出産直後の赤ちゃんの体内では、活性が一気に高くなっているという。

「胎児にとって子宮の外は全く別世界。自力で呼吸し、栄養を摂る新しい生活に合わせて、体を作り替える必要があります」。このとき赤血球や心筋のたんぱく質が、胎児型から成人型に交換される。胎児時代のたんぱく質を壊す大規模なオートファジーが起きているのだ。

新しい体になるときは、まず古いものを壊す。ほぉ、何だかありがたいメッセージにも聞こえるぞ。オートファジー、覚えておこう。

北村昌陽(きたむら・まさひ)
生命科学ジャーナリスト。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。主に生命科学と医療・健康に関わる分野で取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。

[日経ヘルス2012年1月号の記事を基に再構成]

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