続いて、壁と腰の隙間が狭くて手が引っかかった骨盤後傾タイプ。妊婦さんや太り気味の人、太ももの裏の筋肉が硬い人でこのタイプが多くなります。後傾タイプは、突っ張って凝っているハムストリングスを伸ばし、股関節を曲げ伸ばしする腸腰筋を鍛えることがポイントとなります。まずは、「もも上げ体操」で腸腰筋を鍛えます。骨盤を立ててももを引き上げると、腸腰筋をピンポイントで刺激できます。これをやっておくと、次に行う「ひざ伸ばし体操」の効果がより高まる。あらかじめ腸腰筋を刺激してあるから、スムーズに脚を持ち上げることができ、ハムストリングスが気持ちよーく伸びるんです。ハムストリングスのストレッチと同時に、腸腰筋を鍛える効果もミックスされた、一石二鳥の体操です。


いずれも、行うタイミングは朝の体の動かし始めと、夜、入浴後の体が温まったときがお薦め。しかし、それだけでは不十分です。日中もなるべく体が凝らない状態にするためには、できるだけこまめに行いたい。例えば前傾タイプの基本の腹筋体操は椅子に座った状態で行うこともできるし、後傾タイプの体操はデスクワークの合間でも実践できるはず。

骨盤の不自然な傾きをリセットするこの体操を今日からスタートして、2週間ほどの間は筋肉に働きかけ、再学習させる期間。繰り返して体操するうちに筋線維が刺激を受け、やがて協調して働くことができるようになります。実感としては、立つ、歩くなどの動きがすべて楽になる、体が動かしやすくなったと感じ始めるでしょう。

1カ月ほどすると、見た目にも体が引き締まってきます。立ち姿が美しくなり「やせた?」と人からいわれるかもしれません。背すじがきれいに伸びて胸を張り、あごを引いた姿勢をとるようになれば、気持ちも引き上げられていく。姿勢は心身を支える「おおもと」なのです。

竹井仁(たけい・ひとし)
 首都大学東京 健康福祉学部理学療法学科准教授。1966年、愛媛県生まれ。筑波大学大学院修士課程(リハビリテーション)修了。2002年、医学博士(解剖学)学位取得。理学療法士。医学的知識に基づいた筋力トレーニング、リハビリテーションを研究する。著書に『不調リセット』(ヴィレッジブックス)などがある。

(ライター 柳本操、構成/日経ヘルス 宇野麻由子)

[日経ヘルス2011年5月号の記事を基に再構成]

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